美食と嘘と、ニューヨーク
Le Petitmecのパン屋さんらしからぬサイトにて、ブレッドジャーナリストらしからぬ連載『月の本棚 清水美穂子のBread-B』をさせていただいて、もうじき1年が経ちます。
普段はBread+something good(パンと何かいいもの)をテーマに執筆・発信していますが、ここではBread-B。Bを外してしまって、Reading周辺のsomething goodを書いていきたいと思います。
ということで、本を紹介しています。12回目は『美食と嘘と、ニューヨーク』。
http://lepetitmec.com/archives/15201/
おもしろい本を読むと、おいしいパンを食べた時のように、つくり手のことを知りたくなってきます。著者のJessicaはヨガをする、ということをInstagramを通じて知ったり。
ヨガ。
おもしろい本はヨガにも似ているかもしれません。
過去のクヨクヨや未来の心配で一杯になった頭の中をスッと鎮めてくれるから。
本を閉じた時、さっきとは違う、クリアで静かな現実に戻っているところも。
私が紹介するのは、自己啓発本でもハウツー本でもまったくないけれど、
そんなふうな、ちょっとsomething goodな効果があると思います。
今まで『月の本棚』で紹介させていただいた本。
http://lepetitmec.com/archives/category/column/breadb/
2『空ばかり見ていた』吉田篤弘
3『あるときの物語』ルース・オゼキ
4『泣かない子供』『泣く大人』江國香織
5『京都の平熱』鷲田清一
6『レモンケーキの独特なさびしさ』エイミー・ベンダー
7『魔法の夜』 スティーヴン・ミルハウザー
8『うつくしく、やさしく、おろかなり』杉浦日向子
10『ヒップな生活革命』佐久間裕美子
11『からだとはなす、ことばとおどる』石田千
12『遠い太鼓』村上春樹
1『美食と嘘と、ニューヨーク』ジェシカ・トム
ベストパン★2016とDiscover Japan『パン名鑑』
年末恒例、All About読者が選ぶベストパン★2016、結果発表。
ご協力くださった読者の皆さま、勝手なランキングをお許しくださったパン屋さんの皆さま、どうもありがとうございました。新しい年もAll About【パン】をどうぞ、よろしくお願い申し上げます。
さて2016年グランプリの東京のお店が今年の5月いっぱいで閉店になるという残念過ぎるニュースに、Bread JournalのFacebookでも未だかつてない「悲しいね!」のリアクションが集まってきています。東京での再開予定の発表を心待ちにしています。
12月はベストパンと共に、Discover Japan別冊の『パン名鑑』(税抜1000円)の制作に明け暮れました。Discover Japanはできるだけ全品紹介と採寸が特徴で、これは2016年末のパンの記録、保存版。なんと、12月31日発売です。
私が執筆させていただいたのは、下記の通り。
■ル・シュクレクール大解剖
オーナーシェフ、岩永歩さんへのインタビューとお店の紹介&パン全商品紹介!
■おかずパン・おやつパンはクリエイティブだ!
日本が誇るローカルパン&レトロパンを再構築!~サンチノ
東西名店のラインナップ徹底紹介~パンデュース・ブーランジェリースドウ
各店のおかずパン・おやつパン、全品紹介
■WE LOVE SANDWICHES!
~チクテベーカリー、サンドイッチ トレエウーノ、
サンス エ サンス、パーラー江古田、レフェクトワール
各店のサンドイッチ全品紹介
■コッペパンに夢中
~ル・プチメックOMAKE、まるき製パン所
各店のコッペパン、全品紹介
■行っておきたいパン屋さん
行列必至!たま木亭の人気の秘密
■60年の歴史が培った 時代を超えて愛される味
ペリカン
他にもパンラボ池田さんのおかずパン、おやつパン名鑑など
内容盛り沢山です。ぜひご覧ください。
取材させていただいた皆さまに、心から感謝しています。
ありがとうございました。
丸の内ホテルで朝食を×セントル ザ・ベーカリー
東京駅丸の内北口正面にある「丸の内ホテル」で、ホテル業界初、「セントル ザ・ベーカリー」とコラボした朝食が始まりました。
写真は厚切りのハムエッグトーストとフレンチトーストのココット仕立て。ハムエッグトーストは上質なハムの味とたまごの黄身の熱の入り具合が絶妙でした。フレンチトーストには熱々のマーマレードソースが、かけられています。いつまでも熱々。
月替わりでセントルの「プルマン」を使った4種類の料理からひとつを選ぶこの朝食、ほかにスープとサラダバー、シリアル、おかわり自由な各種飲物がつく豪華版です。2970円(税・サービス料込み)。
丸の内ホテルの朝食は6時半から10時なので、セントル ザ・ベーカリーが開店する10時まで待てない人はここへいくのもひとつの手。朝食ミーティングにも、おすすめです。
第11回メープルスイーツコンテスト・グランプリはパン部門から
11月9日に開催されたクインビーガーデン「第11回メープルスイーツコンテスト」は応募総数123品より、総合グランプリはパン部門、サンジェルマンの野村聡さんが選ばれました。作品名はPatate douce d'érable。塩バターパンの発想からメープルバターを巻き込んだ、サツマイモ入りハースブレッドです。
メープルとサツマイモの相性、人柄が感じられる優しい味、もう一度食べたいと思わせる、など、その理由を審査員の柳正司シェフが挙げられていました。
このパン、Patate douce d'érableは「プルミエ サンジェルマン」中野店で2月より販売が予定されています。
パン部門の優勝はエコール辻 東京の平良透さんでした。おめでとうございます。
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旅の効能
旅の効能は、終えたときに違う世界に戻ってくることだ。
場所を変えた日常、のような旅から戻ってこの半月で、お能(国立能楽堂)、帯の作家さんの展示会(三渓園)、KIITSU(鈴木其一)展(サントリー美術館)、杉本博司『ロスト・ヒューマン』(東京写真美術館)など、逆にこちらが旅のなのではと思うような日々でした。茶道の稽古や資格者講習会もあったので、既に6日もきもので過ごすなど、日本で好きなものやことにどっぷりとひたりました。
昔の旅と違うのは、すぐに「あっちに戻りたい」とならないこと。
自分がすきなものは、どこにいても愛せるし、日本にもいいものがたくさんあると思えるようになったこと。自分の暮らしかたを確立しつつあるのかもしれない。
東京写真美術館にはメゾン・イチのカフェができていました。
Bread,Coffee and Something Good in NY
何しにNYへ?と聞かれて、今さら都市を擬人化して大好きなひとに20年ぶりに会いに行く感じ、を伝えても伝わらないかもしれないのでとりあえず「週末の生活をそのまま東に6,700マイルほど移動させただけ」と格好つけておきましょう。
そんな旅も終わりに近づいてきました。
最後の夕食はWytheホテルのダイニング、Reynaldにて簡単に。料理人のつくるハンバーガーをオニオンもチーズもナシにしてもらい、シンプルに味わう。ブリオッシュでない普通のバンズで。これもまたおいしかった。She Wolf Bakeryかな。
夫が注文したフライドチキンのサンドにはcilantroが。パクチーとかコリアンダーと言わないで、スペイン語のシラントローで市民権を得ていました。
翌朝、パノラミックな部屋で朝日を拝んでから、Bakeriの本店へ。
Bakeriで始まりBakeriで終わる朝食なのでした。ここではマフィンやタルトばかり食べていたと気づき、お土産にサワードーブレッドをひとつ購入。
それからToby's Estate Coffeeへ。
大きな焙煎機の横にLaptop Freeのテーブルがあったので、届いたばかりの急ぎの仕事を少し。C誌編集部が選んでくれたいくつかの素敵なカンパーニュについて書く仕事でした。旅の時間に日本時間を持ち込んでしまったけれども、思い出して書きながら、この20年で日本のパンは本当においしくなったなぁとしみじみ。
久しぶりにたべたNYのパンはというと、しっとりもっちり優勢な東京のパンと比べて軽く、ワイルドで、でもやっぱりそれはそれでおいしかった。Upstateの小麦粉を使っているというのがよかったし、この旅のあいだ、Local,Organic,Craft and Comfortということがドキドキするほど伝わってきて、講演用の原稿が書けてしまったくらいだった。
そして私は、日常の延長のように今ここにこうして居られることに感謝していました。
夫の会社を一からつくっていくこと、執筆の仕事をコツコツと続けていくこと、私たちを応援してくれていた三人と一頭の家族それぞれの生老病死。さまざまな理由で日本を離れなかった20年間の後で。よく歩き、時々過去の幼い幻と向き合い、頭の中にあった古い地図をきれいに上書きする旅となりました。
さて。
Last minutes shoppingの後、Whole Foods(よく足を運んだスーパーマーケット)を見納め、Van Leewen artisan ice creamに行き、再びToby'sでコーヒーを買う。コーヒーショップの前にはいつも、お行儀のいい犬たち……そうそう。犬たちを留守番させなければならなかったことだけ、心残りでした。
再びUberを呼んでJFKへ。東京へ。
これで今回のNYの旅のお話は終わりです。
また行きたいか、と聞かれたら行きたい、と答えます。
あの街で力一杯生きる素敵な友達と、お会いできたすべてのひとに感謝しています。
Thank you!
職人のPIZZAとチョコ,眺めのよいLOFT
ドーはドーナツのドー
ほかにも良いドーナツ屋さんはあるに違いないが、Dooughのドーナツはおいしかった。アパートメントを去る朝の食事は部屋でBitter SweetのコクのあるコーヒーとDoughのドーナツと大きなパン・オ・ショコラ(Balthazarかハウスメイドか不明)、リンゴはFujiとHoney Crisp、そしてギリシャヨーグルト、ジュース。
ヨーグルトやジュースを買うグロサリーストアは個人経営で、意識の高低が商品に表れている。店の人が楽しそうにしている店はいつもいい感じの空気が流れていて、買いものもリラックスできて楽しかった。コンビニができる前は私たちの街にも、こんなお店があったよな、と思う。
滞在していたタウンハウスの部屋はよかった。撮影不可の決まりで載せられないが、アメリカンフォークアートの絵画や調度品、家主さんのホスピタリティ、かけがえのない体験だった。
Uber(ウーバー)を呼んで最終宿泊地へ。Uberは今回の旅で感動の便利さだった。
Uberとはイエローキャブが走っていないブルックリンなどで、タクシー代わりになる配車サービス。
簡単に説明すると、まずスマホにアプリhttps://www.uber.com/ja-JP/ride/を入れてアカウント登録する。次に、希望の車種を選んで目的地を入れると見積金額が表示されるので、確認してクリックすると自分がいる場所に車が来てくれる。「あと何分で到着します」などのお知らせと共に運転手の名前や顔写真がリアルタイムで届くのです。タクシーと違っていつもきれいな車で。目的地に着いたら支払いはカード引き落としのキャッシュレス。チップ不要。メールで領収書が届く。チップはなくとも降りてから運転手を評価することができるためか、サービスもかなり快適です。ルートがすべて記録されているのも安心で、価格は普通車UberXの場合、NYではタクシーと同じか少し安いかもと感じました。初回無料乗車(上限額は都市によって異なる)できる私からの招待コードは「y9q9v3a2ue」です。登録のときに入力すればよいそう(そうすると私にも特典があるそうな!)です。
前回はインターネットはもちろんスマホもない時代だったから(なんて昔なんでしょう)、さほど不便に思わなかったけれども、今こうして宿泊やレストランの予約や配車や撮影、そして「ここどこ?」までもスマホを頼りにできることを考えると、すごい時代になったものだと思います。
ホテルに荷物を預けてから地下鉄に乗って、Bushwickにある倉庫のようなピザ屋さん、Roberta'sを再訪。入り口がわかりにくく秘密基地のようです(下記参照)。こんどは待たずに入れました。アマトリチャーナ、ロメインレタスのサラダ、もちろんピザも、何を食べてもおいしいお店。
それから近くの、Fine&Rawのチョコレート工場併設のショップへ。ここも倉庫で質実剛健、カジュアルながら高級。ほとんど買いものをしなかったこの旅で、洒落たデザインの板チョコはよいお土産となりました。
Fine&Rawのチョコレートヘーゼルナッツバターは乳製品ではなくナッツの油脂でスプレッドになっています。原材料はヘーゼルナッツ、ココナツシュガー、カカオパウダー&カカオ豆、ココナツオイル、バニラパウダー(ここまですべてオーガニック)、そしてピンクシーソルト。これがサワード―ブレッドと最高に相性がよかったのでした。
午後、一泊豪華主義に(というわりには入口やスタッフはとてもカジュアルな雰囲気の)Wythe Hotelへ。部屋が空いていたようで、アップグレードしてくれました。感謝!
ここは、初日に書いたアンドリュー・ターロウのホテル。彼のレストランはチップが廃止されて久しいというけれど、ホテルもルームサービスがないことや持ち帰れるアメニティがなく、置いてあるものひとつひとつプライスがついているところなどが無駄がなく、よくもわるくも合理的で若い、新しい感覚。
角部屋の2面がすべて窓、の解放感。眺望するマンハッタンビューは正面にエンパイアステートビル、右にクライスラービル(この2つの造形を愛しています)、MetLifeビル、左に新しいワールドトレードセンター。一旦外出していそいで戻り、とっぷり日が暮れるまで特等席に腰掛けてこの風景に見惚れていました。
辺りは建設ラッシュ。ホテルやビルが雨後の筍のごとく建ち始めていて、この街も景色もそしてこのロフトからの眺めも、ぐんぐん変わっていきそうな勢いです。