最近ではさまざまな国産小麦の名前を目にするようになった。
小麦の味というものは、麦を育てるひとや風土、粉の挽きかた、
素材の配合、発酵、焼成するひとの感覚や技術によっても
異なってくるだろうから複雑だ。そして、興味深い。
外国のパンがまず先にあって、そのパンに出合ったときの感動を
誰かと分かち合うために、お手本を目指して再現すること、
どれほどそれに近く、あるいはそれよりもおいしくできるかは
パンづくりのひとつの動機となる。
でも、この地の小麦粉から始まる、おいしいパンづくりは
これからの時代のパン職人の目指すところなのかもしれない。