セントルの夜の名前。

あまり広く知られ ていないけれど、食パン専門店セントル・ザ ベーカリーは 夜、ラ カンティーヌ・サントルという店名に変わり、メニューもサンドイッチ食堂からフレンチに変わる。
 

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昼は混みあっているこの食堂が夜は比較的すいていて、丸の内のVIRONから運ばれるパン(食パンではなく)とともに、リエットや鶏白レバーのムースや生ハムを、ワゴンサーヴィスのチーズを、予約なしでゆったりと、心ゆくまで愉しむこともできる。
ただ、奥の書斎風の部屋の席は人気があるので、確保したい時は、予約が安心だ。

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フリッツ・ハンセン、セシリア・マンツのテーブル「エッセイ」。夜は白いクロスがかけられる。

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フレンチレストランでは、なかなかここまで辿りつけない、チーズを満喫できてうれしい。

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パンと何かいいもの。夜にゆっくり楽しみたい人はぜひここへ。

棚の高いところにトースターが飾ってあった。ここは昼間、席でトーストを自分で焼いて食べられる店だ。それもさまざまなブランドのスタイリッシュなトースターで。

飾られていたのは、日々のハードなおつとめを終えて引退したトースターなのだそうだ。お疲れさま。あのおいしい食パンを、いったい、何枚焼いたのだろう。

この店では昼間、900本もの食パンが焼かれていてそれを買う人の行列がたえないが、パンの厨房は夜、ひっそりとしている。

そう。夜は昼間の賑わいが嘘のように、静か。一方で料理のオープンな厨房には活気があって、料理人が働いている姿が見える。

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ラ カンティーヌ・サントルには、今回は、久しぶりの勉強会で、出かけた。
その場で会う昔気質の職人さんたちには、パンの話とともにさまざまなPain、痛みについて伺ってきたこの十数年があった。わたしも、ここでは自分の話をする。彼らにはメディア の人と思われているが、メディアの人にはパンの専門の人と思われていて、自分では書いて伝える人でありたいと思って、居場所を模索してきた自分の話を。何かを習うとか、覚えるとかいう勉強ではなくて、実務に関係あるとかないとかではなくて、誰かの人生のひとつの風景を見ることで、学ぶこともある。

話がそれたけれども、夜のセントル、小さな会合にも、よい場所です。