一流の仕事をしよう。辻芳樹(辻調)× 杉窪章匡(365日)
自分がしたいこと、してほしいことを、一方的に欲するだけではなくて、相手の立場に立って考えてみる。させてあげたくなるような、してあげたくなるような自分かどうか。そういう自分になるためには何をすればいいか。お金も、手伝ってくれる人も、ものも、持っていなくても、できる方法は、時間をうまく見方につけることだ。杉窪さんは、そんなことをわたしに気付かせてくれた。
先日行われた「365日」の杉窪章匡さんと日本の料理界をリードする辻調理師専門学校校長の辻芳樹さんの特別授業のレポートを、All AboutでUPしました。
わたしは杉窪さんのことは、All Aboutの他『料理王国』『Discover Japan』などで執筆しているのですが、いつも取材の後で、自分の仕事や生き方を振り返ってしまうのです。他にも何人かそういう状態になる職人さんがいますが、彼らに共通しているのは、真摯に仕事に取り組む姿勢かもしれません。
杉窪さんの言葉を、学生はどんなふうに受けとめただろうと思います。わたしはとても、面白かった。そして、みずからの仕事について考えさせられた。だから、多くの人に伝えたいと思いました。これから、料理やパンやお菓子の仕事に就いたり、お店を持ちたいと考えているのだとしたら、ぜひ読んでみてほしい。そういう仕事をしていないとしても、なにか、心に響くものがあると思います。
杉窪流のものの見方、考え方は、響くのです。
ここにいくつかピックアップして書いておきます。この言葉を導き出して学生に提示してみせたのは、辻調グル―プ代表の辻芳樹さんです。貴重な機会をありがとうございました。詳しくは記事で読んでみてください。
杉窪さんの言葉
一流のお客さまを相手にするには、超一流になる。
すべて計画を立てて逆算する。10年後にこうなる、だったら5年後にはこう、1年後にはこうなっていないといけない。ということはこの1ヶ月でやることはこれである。ということはこの1週間でこれができていないといけない。今日はこれをしなくてはいけない。
既製品を使ったモノ作りに未来はない。
パティシエの技術というものは大量生産の技術です。いかに大量においしく作れるかというのが、パン職人にも菓子職人にも必要とされる。
「早く」、「きれいに」、「おいしく」、「安全に」、そして「衛生面に考慮して」作ること。この5つをすべて備えた仕事が基本の仕事。ものの置き方ひとつとってもそうだよ。それを10年続けたらたぶん一流になれる。
クラシックっていうのは、その当時ベストだったものです。時代とともにベストは変化していきます。それを勉強するということは時系列を学ぶということだから、時代を経てどういうふうに変化してきたのかわかれば、未来がどう変化するかを予測することができる。だからクラシックに固執していると、多分未来に生き残れない。
こだわって作っているだけでは、だんだんと自分の作りたいものが作れなくなっていってしまいます。
仕事先は、自分の人生の修業をする場所なんだから、人生がかかっているんだから、自分で選んでいいんだからね。
この人を雇いたいと思わせる力を持たなければ、そして給料を上げてやりたいと思わせるくらいになれなければ、将来店なんて持てない。