【Today's Toast 6】心をこめてトーストする。
パン屋さんで買った食パンを一枚、心をこめてトーストする。毎日一枚。
ある日は昔ながらの網で、ある日は遠赤外線など機能に優れた、最新式のトースターで。
食パンの生地を分割する工程は、人間だとベテラン職人でも1分間に20個、大手製パン工場の機械ではその4.5倍の90個、しかも休憩なしに作り続けることができるという。
町のパン屋さんの食パンは、大手のパン屋さんの工場に比べて、つまり、ちょっとしかつくれない。
町のパン屋さんの売場のなかでは、菓子パンが12分程度で焼けて効率よく売ることができるのに対し、食パンは、40分から45分かかる上、菓子パンほどの価格がつけられない。菓子パンを焼いていたほうが2、3倍利益が出るという。
という事情を考えれば、町のパン屋さんの食パンは、つくりたい、というパン屋さんの意志で成り立っている。つくりたいのは、おいしい笑顔が見たいからだ。
もし、あなたが今食べているその食パンがおいしくて、毎日食べたいと思ったら、その食パンのこと、大好きだって、わたしはこれが必要なんだって、パン屋さんに笑顔で言ってあげてください。
わたしはきょうも、トーストをつくる。
そしてゆっくり、大事に食べる。