ドンク仁瓶利夫と考えるBon Painへの道

この本が日本の次の世代のパン職人にとって、どれほど力になることかと思う。 完成まで2年半。「あずかる原稿にはたくさんの怒りの爆発がありました。それだけの想いがあって書いています」。編集者の松成容子さんは言う。 ドンクの仁瓶利夫さんがこの夏に出…

第9回メープルスイーツコンテスト 日常性と芸術性の接点を極める

毎年、木々が紅葉するころ、カナダ大使館で行われる、メープルスイーツコンテストの表彰式。 世界から注目の集まる日本食を意識して今年からは和菓子にもメープルシュガー、メープルシロップの可能性をひろげるべく、東京製菓学校から和菓子の先生も審査員に…

ル・パン・コティディアン アラン・クモンさんを囲む食事会とインタビュー

10月10日に料理通信が主催する、ル・パン・コティディアンのアラン・クモンさんを囲む食事会に出席しました。 1990年、ベルギーのブリュッセルの小さな空間、たったひとつの(しかし14席の、大きな)アンティークテーブルから始まったル・パン・コティディア…

セドリック・カサノバのラ・ターブル・ユニーク

パリでオリーブオイルなどシシリア産の食材を扱う「ラ・テット・ダン・レ・ゾリーブ」のセドリック・カサノバさん来日に伴い、CREMAの勅使河原加奈子さんが明治神宮前のCook&Coにて開催したイベント「ラ・ターブル・ユニーク」に出席しました。 それは今後日…

東日本大震災復興支援・第8回チャリティー製パン講習会

7月4日、日清製粉株式会社小網町加工技術センターにて、8回目になるチャリティー製パン講習会が開催され、受講料315,500円が「あしなが育英会東日本大震災津波遺児支援募金」に寄付されました。 講師は発起人でレギュラーメンバーの山﨑豊さん、伊原靖友さん…

テレビ静岡「静岡フードミュージアム構想」続編

テレビ静岡の「てっぺん静岡」番組内で「静岡フードミュージアム構想」なるコーナーの続編があった。 「マルコ・デュ・パン」という店の職人さんたちが、静岡食材を使ったご当地パンの商品開発に挑む。 先日もここで書いたけれど、わたしは、京都でパン教室…

再び、ルーエプラッツ・ツオップにて

朝日カルチャーセンターの講座「美味しいパン屋さんめぐり」。 前回は二子玉川のドンクへ、今回は再び松戸のツオップへ。 前回のように、ライ麦や全粒粉、ディンケル小麦のパンなど普段あまり味わう機会のすくない種類を、料理とともにテイスティングしてい…

第5回辻静雄食文化賞

6月3日、明治記念館で第5回辻静雄食文化賞の贈賞式が行われました。 辻静雄食文化賞とは、辻調グループ校の創設者、辻静雄さん(1933~1993)の志を受け継ぎ、食文化の発展に貢献した人の活動や作品に贈られる賞です。 第5回辻静雄食文化賞受賞は書籍と映画…

ルーエプラッツ・ツオップにて

朝日カルチャーセンターの講座「美味しいパン屋さんめぐり」。 前回は有楽町のセントルへ、今回は松戸のツオップへ。 2階のカフェ、ルーエプラッツ・ツオップで店長の伊原さんにパンのお話を伺いながらライ麦パンをはじめとする食事パンと、それに合う料理を…

『パンの文化史』舟田詠子さんのこと。

1998年に朝日選書で出版された舟田詠子さんの『パンの文化史』が講談社学術文庫で復刊されたのを記念して、先日、上智大学で小さな講演会がひらかれた。 『パンの文化史』を初めて読んだ頃は、パンのことを書いていくにあたって、自分はパンの何を伝えたいか…

朝日カルチャー 野外講座 美味しいパン屋さんめぐり

朝日カルチャーセンター大人の野外講座「美味しいパン屋さんめぐり」で有楽町のセントル・ザ・ベーカリーへ。 カルチャーセンターという場でお話をさせていただくのは、初めての体験でした。パン屋さんめぐり、というのはこの講座のシリーズ名で、毎回一軒で…

ききパン!和麦カフェ 志賀勝栄シェフに聞く

小麦食を通じたコミュニケーションで日本を元気にするさまざまな活動を行うコムギケーション倶楽部。わたしは以前、製粉会館でマスコミ向けセミナーをさせていただきましたが、パンが好きな方々に向けての楽しいイベントも開催しています。 たとえば国産小麦…

ネスカフェミラノ カフェオープンカレッジ@銀座おとな塾

花屋さんや書店などの非飲食業に併設のカフェに多く導入されているというコーヒーディスペンサーマシン「ネスカフェミラノ」。12月3日、ベーカリーを対象にした講座が銀座で開催された。 コーヒーがカスタマイズできるマシン本体や、カフェ支援プログラムな…

ESqUISSE(エスキス)

銀座のエスキスは友人が器などのコーディネートや通訳で関わっていることで知り、いつか行ってみたいとひそかに思っていたお店。お祝いごとの機会があったので、予約を入れました。 果実をどこかにしのばせた美しい一皿一皿に名前はなく、目を閉じて、ひとく…

J'AIME PARIS アラン・デュカスのお気に入り パン職人編

先日「わたしの素敵なパン時間」インタビュー後に、アラン・デュカスさんのお気に入りパン職人、クリストフ・ヴァスールさん×ブノワのスペシャルメニューをいただきました。 一品一品にクリストフさんのスペシャリテ、「パン・デ・ザミ」が付いてくるのに加…

トラン・ブルー成瀬正さんによるコンテ・パンセミナー

9月11日、コンテチーズ生産者協会主催、飛騨高山のトラン・ブルーの成瀬正さんによるコンテを使ったパンのセミナーが日仏商事にて開催されました。 コンテはフランス産AOP(原産地呼称保護)チーズの中で一番の生産量を誇るチーズ。 直径60センチ、高さ10セ…

給食はいつの間にか、米飯の時代になっていた

昨日の辻調塾は「ニッポンの給食を考える」。『めざせ! 給食甲子園』(講談社)著者の神山典士さん、文京区青柳小学校の栄養士、松丸奨さんのお話を伺いました。 神山さん曰く、初めて会った人とも給食の話になると誰でも何か言いたいことを持っていて、会…

大人の文化祭

レフェクトワールで大人の文化祭が開催された。 大人の文化祭 パンのイベントではないのです。 ル・プチメックの運営する食堂レフェクトワールで、いい大人たちが、素敵な音楽やおいしい食べものとともに、作品を披露したり販売したり、それを眺めたり食べた…

辻調塾 in 蔦屋書店~今だから、辻静雄の話をしよう

辻調グループの創設者、辻静雄ライブラリー(全7冊)の1冊目『フランス料理の手帖』(1973)の復刊を記念して、代官山の蔦屋書店で開催された辻調塾に出席しました。辻調塾のことは何度かここにも書いていますが、食やメディアの仕事に携わる人たちの学びと…

ホールセールベーカリーとリテイルベーカリー

コムギケーション倶楽部のプレスセミナーで製粉会館へ。 コムギケーション倶楽部とは、小麦食を通じたコミュニケーションでさまざまな活動を行う団体で、メンバーは財団法人製粉振興会、製粉協会、協同組合全国製粉協議会、一般社団法人日本食農連携機構。 …

辻静雄生誕80周年記念 第4回辻静雄食文化賞

5月30日、代官山蔦屋書店ラウンジAnjinにて、第4回辻静雄食文化賞の贈賞式がありました。 辻静雄食文化賞とは、辻調グループ校の創設者、辻静雄さん(1933~1993)の志を受け継ぎ、食文化の発展に貢献した人の活動や作品に贈られる賞です。 今年受賞されたの…

『ファッションフード、あります。』の楽しみ方

辻調塾にて、『ファッションフード、あります。』の畑中三応子さんのお話を伺った。 1970年頃、量も栄養も満ち足りて、情報の時代となって始まったポップカルチャーとしての「ファッションフード」史。 西洋崇拝系、和洋折衷系、栄養神話・不老長寿系などな…

15世紀のマントヴァのお姫様とパンのお話

23日はパン文化研究者、舟田詠子さんの講演で、上智大学のソフィアンズクラブへ。 先日こちらでもお知らせした、そのテーマは「マントヴァのふたりの姫の運命とふたつのパン」。 マントヴァのGonzaga家の次男、Francescoが枢機卿になるという。 その知らせを…

吉祥寺でローズさん来日記念イベント

週末、吉祥寺で開催されたローズベーカリー創始者のローズ・カッラリーニさん来日&"How to Boil an Egg"出版記念イベントでMCを務めさせていただきました。 続々オープンするお店の人気の秘密、新刊の内容とデモンストレーションなどがおもなトーク内容でし…

sens et sens

カフェに座ってコーヒーを待っていると、静謐という言葉を思い出した。 でもそこにあるのは、はりつめる静けさではなく、のんびりとした静けさ。 近くに座っていたひとが、昼食のあとのコーヒーをのみながら 「静かだね」と言った。しばらくして、「うん、静…

ティエリさんのフランスパン

千葉県八千代市。薪窯でパンを焼いているフランス人、ティエリさんを訪ねました。 裏庭の薪窯小屋 伝統の練り桶と発酵棚も手作り 手作りの薪窯 山のパン 記事はAll Aboutにて、公開しました。 ティエリさんのフランスパン

レフェクトワールのパンと料理(出版記念パーティ)

先日、『サンドイッチの発想と組み立て 世界の定番サンドイッチとその応用』を出版した友人のナガタユイさんの出版記念パーティを、神宮前のレフェクトワールで開催しました。本についてはぜひこちらを読んでいただければ、と思います。 発起人のひとりとし…

aとbと詩

昨年秋にameen's ovenで開催した「ことばの種、ふくらむパン そしてsomething good ~パンと詩のある風景を巡って」の後、打ち上げをした、名前の長い素敵な店、「bin ジャムと珈琲あるいはその他」で、盛り上がった計画がついに、「aとbと詩企画 vol.1 コー…

パンと詩のある風景を巡って【3】

2012年10月27日(土)14時~17時、夙川のameen's ovenにて開催されたイベント 「ことばの種、ふくらむパン そしてsomething good ~パンと詩のある風景を巡って」 の全記録を、補足の引用とともに公開しています。【1】【2】に続く、最終回です。 ●小山 ひと…

パンと詩のある風景を巡って【2】

2012年10月27日(土)14時~17時、夙川のameen's ovenにて開催されたイベント 「ことばの種、ふくらむパン そしてsomething good ~パンと詩のある風景を巡って」 の全記録を、補足の引用とともに公開しています。続編です。 ●MIHOKO ミシマさん、この店って…

パンと詩のある風景を巡って【1】

2012年10月27日(土)14時~17時、夙川のameen's ovenにて開催されたイベント 「ことばの種、ふくらむパン そしてsomething good ~パンと詩のある風景を巡って」 の全記録を、補足の引用とともに以下に公開します。 <ameen's oven ミシマ ショウジによる案…

第7回メープルスイーツコンテスト

第7回クインビーガーデンメープルスイーツコンテスト表彰式に出席しました。 今年の応募総数は222作品(菓子部門99、パン部門123)過去最高だったそうです。 菓子部門優勝 厚東宣洋さん(大阪あべの辻製菓専門学校) 「ロートンヌ デラブル メープルの秋」 か…

MOFチーズ職人、エティエンヌ・ボワシーさんのセミナー

日本製粉東部技術センターにおいて行われたチーズセミナーに出席しました。 講師はポールボキューズのもとでメートルドテルを務めた後、MOFを取得、エルベ・モンスとリヨンにお店を構えるチーズ職人、エティエンヌ・ボワシーさん。 国内のチーズ消費量は20年…

イタリア料理修業のお話とイタリアンカラーのデリバリー

昨晩は辻調<新>塾にて、大正大学で人間科学の先生をされている澤口恵一さんのお話をお聞きしました。 日本におけるイタリア料理産業史、料理人の人生史、ゲストワーカーとしての日本人の地位、キャリアと独立開業についてなど。 国内での料理産業研究は皆…

『パンづくりの科学』

10月10日は何も考えなくてもよいパンが焼ける日。 5月5日と10月10日は日本では、気温や湿度などがパンの最適環境になる時期なので、 そんなことを言ったりするそうです。 『パンのなぜ?に答えるパンづくりの科学』吉野精一著 (誠文堂新光社) を読みました…

Cuisine[s] Michel Troisgrosとパン

先日、ミッシェル・トロワグロさんにインタビューを させていただいたこともあって、(順番が逆になってしまった けれど)、記念日のディナーをCuisine[s] Michel Troisgrosにて。 ここではパンのことを書きましょう。 わたしはおいしいパンと、ワインと、チ…

国産小麦は地域の魅力になれる

キタノカオリ、はるきらり、春よ恋、ゆめちから、きたほなみ。 ある勉強会にて、自給率1%のパン用小麦粉の農場を営む前田茂雄さん (前田農産食品合資会社)に、小麦生産の現状をお伺いしました。 日本の気候や風土と麦の病気や農薬、品種改良、国の政策、 …

3人のシェフによるパネルディスカッション

産業貿易センターで開催されたカネカ食品グループの展示会 「フードフェスタ2012」にて、山﨑豊さん、ツオップの伊原靖友さん、 オーベルニュの井上克哉さんによる、東日本復興支援チャリティー 講演会の司会進行役を務めました。 山﨑シェフらによるチャリ…

La Collection d'Hiroki Sato

ドンクのブランドのひとつ、全国16店舗で展開する「ジョアン」で 9月5日から18日まで開催される「佐藤広樹の世界」フェアの 社内研修会にお伺いしました。 佐藤さんは1996年にクープ・デュ・モンドでチームリーダーとして 出場された、日本を代表するパン職…

チャリティー講習会のパンと職人さんたち

東日本大震災復興支援チャリティー製パン講習会<4> 続きです。 今回の東日本大震災復興支援チャリティー講習会で実演された 職人さんとそのパンたちをご紹介します。 大西かおりさん くるくるかりかり セ・トレボンの大西かおりさんのパンのセンスは素晴ら…

東日本大震災復興支援チャリティー製パン講習会<4>

7月25日、日本製粉株式会社東部技術センターにおいて 東日本大震災復興支援チャリティー製パン講習会が行なわれました。 山﨑豊さんらによるチャリティー講習会はこれで4回目。 講師は、山﨑豊さん、伊原靖友さん(ZOPF)、井上克哉さん(オーヴェルニュ)、…

「パンの深層」西山逸成×清水美穂子

食に関わるジャーナリストや編集者、メディア人などの 勉強と交流の場、辻調塾で、ル・プチメックの西山さんと お話をさせていただきました。 話し手が一方的に高いところからものを言う場ではなくて、 聞き手は話し手とが同じ場所で、双方向に意見を交わせ…

空想ブーランジュリー

この前は確か、プライスカードの文学案内、だった。 今回は空想ブーランジュリー。 パンラボの池田さんとル・プチメックの西山さんのイベントは、 パンの楽しみを伝える、新しい切り口を見せてくれる。 昨日、新宿のマルイで開催されたイベント、 ”「空想ブ…

『茶懐石に学ぶ日日の料理』光と陰影、そして蜜香

先日は『茶懐石に学ぶ日日の料理』の後藤加寿子さんと 写真家の久保田康夫さんのお話を伺いに辻調<新>塾へ。 食のジャーナリストなど、食に関わる仕事人たちの勉強会です。 後藤加寿子さんは、茶道の武者小路千家のお家元の家に生まれ 料理研究家として、…

Le Mange-Tout

先日、第3回辻静雄食文化賞専門技術者賞を受賞された 谷昇さんのレストラン、ル・マンジュ・トゥーでの食事の席に お誘いいただいて、久しぶりにフランス料理を堪能しました。 シェフのおまかせ料理を、まさにLe Mange-Toutとは こういう意味なのかなと考え…

クリストフ・ズニックさんの製パン講習会

世界中で製パンの技術指導にあたるフランス人パン職人 クリストフ・ズニックさん。 日本アンバサドール協会主催の製パン講習会に 取材に行きました。 普通はパンには使わない、シャンパーニュを作るときに 使う酵母を使った彼のスペシャリテのひとつは、 フ…

ヒカリエのBread+something good

昨日、内覧会に行った渋谷のヒカリエ、B2には、 ル パン ドゥ ジョエル ロブションの他に ラ ブランジュリ キィニョン、Richu濱田家が、あります。 個人的にはシンプルなパン+something goodを 自分で組み合わせるのが好みなので、 ナチュラルなドライフル…

上野万梨子さんのパンを楽しむレシピ<3>

昨日の続き。 パンを楽しむコースもいよいよ終盤です。 <8>鶏とえびのクリームスープグラタン とろみ付けにバゲットを活用。 マッシュルームとハムのココットなども、朝には軽やかに 夜メニューにする時にはトリュフオイルなどをアクセントに。 <9>スモ…

上野万梨子さんのパンを楽しむレシピ<2>

昨日の続き。 <3>かぼちゃとしょうがのポタージュ クミンの香り デミタスカップでサーヴする、一口スープです。 デンマークシリアルブレッドと好相性。 2012年3月に誕生した広島のアンデルセンファーム初の 白ワイン「幸」。ライトな辛口ワインです。 <4…

上野万梨子さんのパンを楽しむレシピ<1>

4月6日に行なわれた上野万梨子さんの『パンを楽しむレシピノート』 出版記念パーティのメニューを、少しずつここでレポートしていきます。 レシピ詳細は本をご覧ください。 まずは料理を始める前の、とっても魅惑的な食べ方から。 わたしはフランス人みたい…