100年後の未来に・・・


業界紙でパン市場をめぐる厳しい現実に呆然とすることがある。
そのことは、パンの仕事に携わる方々と話す機会があると必ず話題になる。

職人さんのパンが消滅の危機にあって、
工業製品としてのパンがそれに替わる時代など、
東京で浮かれていると信じられなくなる。

でも先日、パンの先生がそんなことないと思う、と言った。
「顔が見えるものはなくならないはず。
でも平成○○年創業の老舗って、きっと少ないわね。
だって顔が見えないものばかりなんですもの。」

そして別の日、わたしは確信して目の前のパンをつつきながら言った。
このパンはなくならない。100年後もきっとある。
それを生み出した職人さんがいなくなっても、必ず受け継がれていく。

そこにいた皆が頷いた。
でも、と小麦粉を扱う人が言った。小麦が採れなくなっていたりして。
ブラックジョークだけれど・・・冗談であってほしい。
ひとつのものが受け継がれていくのには相当の努力が要ることだろう。
たくさんの人のチカラが必要になることだろう。

100年後、そこに居たみんなが、今これを読んでいる誰もが、存在していない世界で
人はどんなパンをどんなふうに食べているのだろう。