素を愉しむ、ということ


今年考えることの多いテーマのひとつは
素材の味を生かす(活かす)、ということ。

魅力的なパンを焼く職人は、往々にして
素材を生かす料理人の技にヒントを得ているし、
わたし自身、料理は作るのも食べるのも
素に近いのが好きなので。

素材の味を生かすというのは
あるがままというのとは違う。
生かすのにはその素材に対する正しい感性、
料理人ならではの技が必要だと思う。

たとえば育てるのに手間がかかり、
希少価値のある野菜のほんのひとときの旬。
その魅力が一皿一皿に凝縮されている様子は
はっと息をのむほどで、
寛いでのんだり食べたり喋ったりしているのに
味わう時には思わず姿勢を正さずにはいられない。

今日はそんな店で晩ごはん。

青菜のお浸し、山菜のぬた、空豆の茶碗蒸し、
水茄子、汲み上げ湯葉、焼き野菜、
地鶏の塩焼き、生姜飯など。

いつも食べているものと大して変わらないようでいて
そこには何という隔たりがあることでしょう。
これからもその違いについて考えていこうと思います。