世界パン紀行


NYのジャーナリスト、スーザン・セリグソンが書いたパンの本
『パンをめぐる旅』をやっと読み終えた。

「ニューヨークの真ん中にいても、目を閉じて一口かじれば
パンは音楽の一節やなにかの匂い、人ごみの中の
懐かしい顔のように、たちまち私の心を遠い国へと運び去る。
パンと私の関係はこのようなものだ。」


その言葉を見つけた時、どれほど心がドキドキしたことだろう。
That's right! って、小躍りしてしまうほど。

世界をさすらうパン好きのジャーナリストは、
砂漠の民にパンを焼いてもらい、インドの使用人にパンを学び、
巨大で不気味なパン工場や軍の研究所にも足を踏み入れる。
窯の火の精霊の話、バリマルーの話、ポワラーヌの話。
たくさんの人々の暮らし、宗教と文化と歴史。

読みながらすっかり一緒になって旅しているような気持ちになって
いつもより読む速度がスローになる。

時々出てくるニューヨーカーっぽいジョークが楽しくて、
NY好きとしては2倍楽しめたのだった。

最初はその濃い内容に圧倒されまくり、考え込んだりしていたのに
読み終わる頃にはニヤッとする余裕ができた。

世界で最も有名なパン屋にアポをとる時の懸命さ加減、
酔っ払ってしまって、取材ノートにのたくる文字を
後でどう判読しようとパニックになっているところなど
なんだか共感してしまうのだった。

読み終えたけれど、また明日、最初から読み始めよう。
そんな本は久しぶり。


今日のピックアップ: パンをめぐる旅