トーストと祖父と思い出
今はもういない祖父のこと。
ずっと一緒に暮らしていた祖父は
美しい絵を描くとてもやさしいひとで
いつも庭の草花や帆船の絵を描いていた。
彼はトーストの真ん中に箸を置いて半分に折り
その間にハムや野菜を挟んで食べた。
その仕草が遠い遠い印象に残っている。
なぜ思い出の朝食というと祖父なのだろう。
父も母も朝はとても忙しかったのかもしれない。
わたしと妹と祖父はゆっくり朝食を食べた。
(その頃のわたしのトーストの食べ方といったらなかった。
ミルクティに浸して食べていた気がする。)
ゆっくり美味しいトーストを食べると、そんなふうに
懐かしくて温かくて甘い朝を思い出すことがある。