ベストパン職人、400年前のパンを焼く

上智大学ソフィアンズクラブで舟田詠子さんの講演会。

昨年一度聴講したダイフェカーターの話をもう一度、それに加えてパタコンというコインの入ったヴォラールトというパンのお話だった。

ダイフェカーター追究はヤン・ステーンの一枚の絵から始まった。
今回はブリューゲル
陶土をこねて手描きで作ったコインの入ったパンは今ではもう残っていない。
ダイフェカーターにしても、あのかたちはオランダの地方に残るだけ。
そんな何百年も前のパンたちを、今回の講演ではベストパン★2004でグランプリに輝いたあのZOPFの伊原さんが焼いてきてくれた。

これはわたしが頼んだわけではなく、前回たまたま受講した伊原さんが先生に依頼されて作られたのです。

写真はそのダイフェカーターで、本物そっくりだった。さすが器用な日本のパン職人。

レモンの入った固めのブリオッシュ生地のパンは、身の詰まった甘い食パンの味というか、今まで食べたことのないパンだった。
紅茶とぴったり合っていて、その名の意味をすっかり忘れてしまうほど美味しかった。

ヴォラールトはもう少し大きくふんわりして、普通のパンらしく食べられる。
ブリューゲルの絵では子どもがやっと抱えているくらいの大きさだったけれど、パン屋の窯で焼いたのでそれに近いくらい大きく仕上がっていた。
ヴォラールトは絵でしか残っていなかったから作るのは大変だったに違いない。想像の部分がたくさんありそうだった。

美味しいパンを食べながら、パンニュースの西川さんをはじめ、何人か存じ上げている業界の方々とお会いして、新年の情報交換をすることもできた。
今年もいろいろな角度からパンとsomething goodについて考えていこう、と思った。

ヴォラールトやダイフェカーターについては舟田詠子さんの本、「誰も知らないクリスマス」に詳しく書いてあります。