パンが好きになったきっかけは・・・
パイレックスのボウルやサンビームのミキサーは
アメリカンコレクティブルの店に置いてありそうな
思いきりノスタルジックな様子だった。
30年は経過しているそれらは、でも
わたしのキッチンで現役で働いてくれている。
手動のホイッパーでは卵がうまく泡立てられなくて
哀しいスポンジケーキを焼いたことのある母が
この電動ミキサーを手に入れてよろこんでいたのを思い出す。
そして、おいしいケーキを焼いてくれた。
飾りつけを担当したのは父とわたしと妹だった。
パンが好きになったきっかけは、と聞かれると
母が焼くパン、と何かにつけて言っているけれど
それだけではなくて、たくさんある。
パンが好きになったきっかけも、
パン以外に好きなものも。
パンに限らず、ひとを愉しませようと思って何かをつくるということ、
つくるひと、そのまわりの感じが好きだと思う。
何かいいものをつくるひとは、決してひとりではなくて
そのまわりに必ず、それをさせてあげているひとたち
それを楽しみに待つひとたちの気配があると思う。
と、久しぶりにクリームを泡立てながら、
とりとめもなく、いろいろなことを考えた。