ビゴさんの製パンセミナー

愛工舎にて、フィリップ・ビゴ氏の製パンセミナー。

ビゴさんは日本にほんとうのフランスパンをもたらしたひと。
フランスパンの普及に務め、今年で40年になる。

今日のデモンストレーションは
バゲットアラシェンヌ、ブリオッシュ、
ルヴァンリキッドを使ったブリオッシュ、
パンドカンパーニュ。

今までわたしが取材した中で一番
受講者が真剣なセミナーだった。
誰もが席に座っていられない。
誰もが前に出て行って、ビゴさんの手元を見つめる。

プレス席は一番後ろ。
邪魔にならないようにとぼんやりしていたら
写真を撮り損ねてしまう。

わたしは二階席から見下ろしてみたり
熱い窯の前に侵入して苦心しながら
ビゴさんの背後から撮影してみたり。

この熱さは何だろう。窯の熱さだけではなくて。
でもこの状況は、とても素敵なことには違いない。

と、窯の前で首からカメラを提げて
不自然な格好でしゃがみながら考える。

「日本人は味つけパンが好き。
何も味つけをしないパンを好きな人がまだ少ない。
ハード系のパンは単純な配合なのに
上手に作ることができるひとがまだ少ない。
美味しくなければ、売れない。
だからといって売れる菓子パンだけ売ればいいのか?
ハード系のパンが焼けなくてパン屋と言えるか?」

「美味しい香りと味のためには
最低でも5時間から6時間の発酵が必要です。
時間をかけてやさしく、美味しいものをつくろう。
ほんとうの美味しいパンを、魅力を感じさせるパンを
いいパンをつくりましょう。」

ビゴさんは流暢な関西の日本語を話す。
講習のなかで、時々怒ったりもする。
厳しくてやさしい言葉は、あたりまえのことを言っている。
幾度も、繰り返し。

それをビゴさんは40年間、してこられたのだろう。
そして日本には美味しいフランスパンが普及した。

100名くらい受講されていただろうか、
日本の幸運なるパン職人さんたち。

こうしてまた、美味しいフランスパンが
ビゴさんのエスプリが、伝えられていくのを見た一日だった。

ビゴの店(東京)http://www.bigot-tokyo.com/
ビゴの店(芦屋)http://www.bigot.co.jp/