気持いい工房

真夏の空の下
誰もいない昼下がりの道路を
道に迷いながら歩くのは結構
心ぼそいものだ

でも、工房から出てきた
懐かしい顔に逢ったら
もうそれで、元気を取り戻した

気持のいい工房には
気持のいいスタッフが
いつのまにか増えていた

パンがどんどん焼けていく
工房からこうばしい香りが流れる

ひとり、ふたりと
ちょうどいいタイミングで訪れる
お客さんにひとつふたつと売れて

夕方になると
遠方で楽しみに待っている
お客さんに向けて
ひとつひとつ大切に梱包され
箱に詰められる

忙しいパン屋さんの食事の時間を、
あるいは睡眠の時間を
今日もいただいてしまった

人気のパン屋さんにヒミツなんてない

きびしくてやさしい
その仕事ぶりを
今日も大切に書き留めた