蜂の巣、自然の芸術品、プーとコブタ

友達からもらった蜂の巣ごとのハチミツ。
そっと、ナイフを入れて切り取り
トーストにのせながら
おいしいバゲットの内相のような
オブラートのような、薄い薄い膜が
整然と綺麗な六角形をつみかさねていることについて
考える。自然の芸術品の不思議……

口に入れた途端、
難しいことは何も考えられなくなってしまう。
そして次に考えたのはクマのプーさんのこと。

「プー、きみ、朝おきたときね、
まず第一に、どんなこと、考える?」
「けさのごはんは、なににしよ?ってことだな」と、
プーが言いました。「コブタ、きみは、どんなこと?」
「ぼくはね、きょうは、どんなすばらしいことがあるかな、
ってことだよ」
プーは、かんがえぶかげにうなずきました。
「つまり、おんなじことだね」
(『クマのプーさん』A.A.ミルン作 石井桃子訳)