パン屋のヤコブ

 『パン屋のヤコブ』複雑な世の中のための心やさしい哲学
ノア・ベンシー著 デーブ・スペクター訳

という本を読む。

 

思想を紙片に書きとめるパン職人、ヤコブ
ある日その紙片がパンに紛れこんでしまい、
人を感動させたことから、村中の人がわれもわれもと
押しかけることになる、それぞれの説話が綴られた本。

 

訳者あとがきで
日本に存在しない観念や思想、単語を誠実に
翻訳するのは難しかった、とデーブさんは書いている。

話は単純なのだけれど、意味を理解するのが結構難しい。
それにちょっとお説教くさい。でも、なんだか残る。
「こころのクスリ」と書いてある。良薬は口に苦し?

 

わたしの印象に残った話は、こんな話。

純真な子供が、いろいろなことを学びながら
知識という小石を積み上げていく。
大人になるとそれが壁になり、見えるのは
自分が学んだことだけで、向こうが見えなくなっている。
そこで、長いことかけて壁を壊し、世界の素晴らしさ
を見晴らす(そのときは老人になっていた)というお話。

 

ところで、
本の最後にコラムを書いている「元パン屋さん」
どこかで聞いた名前、と思ったら懐かしい。
日本で最初のベーグル専門店、
六本木「フォックス・ベーグル」のフォックスさんだった。