パン屋さんの工事現場にて
この夏、工事に携わっているパン屋さんの
現場に足を踏み入れた。
ひっそりと暗く、埃っぽいその空間が
もうじきパン屋さんになることを、
町行くひとは今はまだ知らない。
毎日いろいろな職人が入っては
自分の仕事を遂行して、出ていく。
店は多くの人の手によって、
平面から立体へと、かたちをなしていく。
それは個人の芸術作品ではないが
工務店にとってはひとつの作品で
職人の仕事の集合体だといつも思う。
最後に入る職人はパン職人。
窯に火が入り、いい香りがしてくる頃
その空間はパン屋さんとして機能し始める。
お客さんが入ってきたところで完成。
パン屋さんは町の人々の日常をすこしだけ
でも確かに、幸せにする装置だ。
盆暮れ正月の建築業界はお休みだったはず
などと呟くことをためらった今年の夏
猛暑の中、職人さんたちもよく働いてくださり
8月もあと10日余り。
秋にはお休みがとれるかな。