高速で移動する一斤の食パン

地下鉄の車両のことを「高速で移動する一斤の食パン」と想像し、
そこからトーストに思いを巡らすサラリーマンの話を読んだ。

 

散歩中、ヴィレッジバンガードで出合った
ニコルソン・ベイカーの『中二階』という本。

 

レーズントーストにバターを塗るとき
バターナイフのカリカリという音が
レーズンの上を通るたびに途切れる

そんな細かいことが書き連ねられている。

 

さらに大量の注釈がついていて、理屈っぽさに辟易しながらも、
面白く読んでいる。変な本に出合ってしまったな。

 

パンの話はほんの一部だけれど、トーストにつける
バターの話があった。

 

バターが冷えて硬い場合は、バターを強く押しつけ
ぱりっとした表面を割ってその下の柔らかな層まで
めりこませてしまう方法がある。

 

やったことがある!……でもNGだと思う。

 

わたしは、バターのつけかたにはこだわりがある。
バターは、サンドイッチのパンに「塗る」のはいいけれど
トーストやバゲットには塗らないで、「のせる」。

 

それは、ひとかたまりのつめたいバターが
舌の温度で溶ける瞬間の感じが好きだから。

 

いろいろ思いながら、この本を読んでいる。