日本のシュトレン2007 進化あるいは浸透のかたち
子供のころ、本で見たシュトレンは、焼きあがったものに
溶かしバターを塗り重ねる工程が、魅力的に思えました。
当時はシュトレンを売っているパン屋さんは
身近になかったように思います。
いつしか、12月のパン屋さんの店先に見かけるようになり
ここ2,3年では日本ならではの趣向を凝らした創作シュトレンも
多くなってきました。
土地の柑橘類や栗や豆、蓬や抹茶をつかったもの、
コーティングにも和三盆、きび砂糖、黒糖、きなこ……。
シュトレンがドイツの人をはじめとして、多くの人にとって
思い入れのある伝統菓子であることを思うと、最初の頃は
これでいいのかと戸惑いもありましたが、これがおいしいので
この頃は「さすが、日本人」と思います。
外国のいいものを取り入れてアレンジして
自国のいいものにしてしまう技術はたぶん、世界一です。
マリアージュ ドゥ ファリーヌの”和み”はヨモギの生地に
紫花豆、大納言入り。キナコと和三盆のコーティング。
お正月にもいい雰囲気です。ひとくちで感動します。
大量販売するためのアレンジには問題点が生じることもありますが
創作好きな職人が究めたアレンジには惹かれるものがあり
この際、別の名称で季節ごとに販売しても良いのではと思ったりもします。
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名称といえば、2002年からわたしは「シュトレン」と
表記することに決めています。
その前は何の考えもなく「シュトーレン」と書いていて
「シュトーレンではなくてシュトレンです」と何人かの
有識者の方からご意見をいただきました。
ドイツ在住の日本人などです。
それで大学の先生やドイツ人にも確認をとりました。
個人的には、外来語としてカタカナになっている言葉は
既に日本語であり、伝わるならいいと思います。
でもメディアでとりあげる場合には違ってきます。
(もちろんその店の商品名であればそれに従います)
ちなみにこの秋、ドイツ国立製パン学校で開催された
シュトレンセミナーの、日本パン技術研究所によるレポートの
最初に同研究所、所長の井上好文さんにより、以下のように
書かれています。
日本では一般に『シュトーレン』と呼ばれていますが
本場ドイツでは『シュトレン』の発音のほうが近いということです。
詳細はこちらにも。ドイツのクリスマスとシュトレン