伝えるパティシエたち
昨日のClub de la Galette des Rois 伝統菓子講習会
レポートの続き、講師と紹介されたお菓子は、こんな感じでした。
■ラ・ヴィ・ドゥース 堀江新シェフ
「フォンダン・オ・ショコラ」
ビストロのデザート菓子としてポピュラーだというこのとろけるようなお菓子を、
パティスリーではとても丁寧につくります。ポイントは乳化。
■ル・ポミエ フレデリック・マドレーヌシェフ
「ケーク・オ・フリュイ」
香りも味わいもスパイシーなフランス産のラムを使って。
■オ・グルニエ・ドール 西原金蔵シェフ
「フィナンシェ/マドレーヌ」「スフレ・グラッセ・ア・ラナナス」
マドレーヌに感動……!
菓子職人のマドレーヌは、パン職人のバゲットかもしれない。
シンプルであるがゆえに、素材選びや技量を問われるところが。
西原シェフが口頭で紹介されたとても簡単で素敵な
「サラダアナナス」をぜひつくってみようと思う。
それは、こんな感じ。
一口大にカットしたパイナップルを味見し、甘ければ5%、
酸っぱければ10%の砂糖を加えて、よくよく冷やす。
食べる直前にキルシュをかける。That's all!
残ったら冷凍し、スフレグラッセをつくればよい、とのこと。
■ガトー・ド・ボワ 林雅彦シェフ
「ガレット・デ・ロワ」「ピュイ・ダムール」
薄くて硬質な、パリパリサクサクの層をつくために
生地を三つ折りにすること6回、何回折ったか忘れないように
生地に指先で印をつける、その瞬間が結構好き。
講習会でも、ちゃんとフェーブをいれて作る。
試食でも、あたったひとは王冠を被るのです。
あ!
ピュイ・ダムールはふんわりとしていながら濃厚なカスタード、
キャラメリゼされたビタースイートな表面、クリームの中に潜む
フランボワーズの甘酸っぱいピンクのアクセント、大好きな感じ。
■エーグル・ドゥース 寺井則彦シェフ
「トルシェ・オー・マロン」
栗本来の味を生かした「引き算のお菓子」。
栗そのもののパーセンテージが多く固くなるので
特別な器械を使って搾り出します。
台となるメレンゲは薄くブラウンに焼きこんで、
甘さを引くところがポイント。
このメレンゲも素晴らしい。
■安食雄二シェフ
「ギモーヴ・ア・ラ・ヴァニーユ / ギモーヴ・ローズ・フランボワーズ」
ギモーヴも、好きなお菓子。
淡雪のようなくちどけの、フランス風マシュマロ。
ギモーヴ本来の意味は、薄紅立葵、マシュマロ、甘ったるい、
感傷的、なのだそう。大森由紀子さんの解説も、いつも楽しい。
パンでもお菓子でも、外国の伝統をうわべだけさらってみても
それは流行として寂しく消えてしまう。
脈々と続いてきた食文化の伝統を知ること、それを築き、守り、
愉しむ人たちのことをもっと知ることができたら、
わたしたちはもっともっとゆたかな心地でつくり、味わい、愉しむ
ことができ、伝統の本質的な部分を継承していけるかもしれない。