料理通信、シニフィアン・シニフィエ
『料理通信』10月号はパン特集です。
わたしは山﨑豊シェフとの対談で
ご協力させていただきました。
特集が誌面を占めていることは、さもありなん、という感じで頷けます。
志賀さんのパンの今、そしてその「おいしさの向こう側」が
ここまで丁寧に取材、詳説してあるのは、料理通信ならではでしょう。
常に新しい未来を見て淡々と進んでいく志賀さんも素晴らしい。
自分のことになりますが、わたしは、いろいろ思い出しました。
たった3年前なのにもう随分昔のように思える取材や
『おいしいパン屋さんのつくりかた』の志賀さんの章で書いたことなど。
そのときの、志賀さんの章のリード部分を書き抜きます。
志賀さんの長時間発酵バゲット。これほどまで職人の名前とともにパンが語られる例を他に知らない。
長時間発酵という言葉をよく耳にするようになった今でも、志賀勝栄
さんのバゲットは他にない個性的な魅力を放っている。その味は濃く、
存在感があるため料理を選ぶかもしれないが、好んで使う料理人も多い。
代官山のカフェアルトファゴス、赤坂のパティスリーペルティエ、そして
丸ビルのユーハイム・ディー・マイスター。おいしいバゲットに適した
小麦粉が今のように手に入らなかった時代から、志賀さんがパンを焼いて
きた店はいつもそのバゲットが評判になった。そして、彼のもとで修業
した職人は、自分の店を持つとそこでかならずおいしいバゲットをつくる。
当時数冊あった志賀さんの取材ノート。
また新しいページを綴る日が、楽しみです。