ちょっと反則、の夜。

昨日のインタビューで藤森さんが、レストランにパンを持ち込むことがある、

反則行為だって言われちゃうけどね、という話をされたのを聞いて、わたしも

過去に何度か、職人さんと食事に行ったときにそんな楽しい反則があったな、

と思い出しました。

彼らが得意先や友人のレストランに自分のパンを持ちこみしていたこと。

もちろん他のお客さまの気にならない席で、シェフの分のパンも忘れずに。

昨日の話を思い出したり考えたりしながら書いて書いて、

テープ起こしをほぼ終えた頃、ちょうど夫がバゲットを買って

帰ってきて、いつものイタリア料理の店に行くことになり

それならそのバゲットを持っていこうということになりました。

バゲットは焼いたその日が一番だから、夕食に食べなくては

一番おいしいときを逃してしまいます。

なんていうこちらの勝手な事情を気さくに受けてくださったシェフに感謝。

Diary90527

二種類の切り方をしたバゲットが、ほどよく温められてバターと、

オリーブオイル+バルサミコ酢とともに登場したとき、シェフの心遣いに

一日の疲れもほどけて消えていきました。

バゲットは熱々のミネストローネやほろ苦いトレヴィスや

アサリやムール貝のエキスやアマトリチャーナの濃厚なトマトを吸っておいしく

食事を楽しくするという任務を、立派に遂行したのです。

抜栓料を支払えばワインを持ち込みできるレストランのように

パンを持ち込みできるレストランがあってもいいかもしれません。

そのとき、反則は反則ではなくなるのです。