アーティストとアルチザン

芸術家と職人。

アーティストとアルチザン。

ものづくりをする人と話していて、

話題がそこに行くことがある。

Diary906201

デザインをする人の仕事場にお邪魔して、お茶などごちそうに

なっていたら、「用の美」の話になった。

彼は芸術家であって職人ではないが、過去のある時点で

ひとりよがりになってはいけない、職人のように無心に、

実用性のあるもの、求められ、喜ばせるものをつくりたい、

という気持ちが芽生えたのだという。

職人のような芸術家がいれば、芸術家のような職人もいる。

パン職人のなかにも、たまにアーティスティックな要素を

持ち合わせる人がいて、伝わりやすい、魅せる力を感じる。

話をして、楽しい。それは、悪くない。

素材や食感が、形や色が、香りや味がことさら特別でない

パンのおいしさを伝えたい、と先日書いたが、それは

職人の仕事のことだった。

Diary906202

かつて、

作者の銘の入った高価な美術品ではなく、

無名の職人が手がけた伝統の仕事に光をあてた

柳宗悦という人がいた。素晴らしいと思う。

日々繰り返し、その手でつくられていく日常品を、

良いものをつくるのに、多くを語らない職人のことを、

どのような言葉で伝えよう。

無理にではなく、無色透明の媒体となれたら、と思う。

柳宗悦を目指せるわけもないが、パンの仕事に関わる前から

いつも、課題は心のなかにある。