母のこと

先日、父に続いて今度は母が大きな手術を受けた。

わたしにパンのおいしさと外国語を教えてくれたひと。

ICUで目覚めた母は「生還したわね」と言った。

母は、まわりに心配かけまいと、ちょっと旅にでも

行くようなそぶりで入院したのだ。そういうひと。

だから、手術という現実に直面してもなお、

わたしの頭のどこかは、旅を楽しんでいるはずの

母の姿を捜して戸惑う。そんな自分にあきれかえる。

治癒を祈る日々は、いつもよりその日々のことに

一生懸命になっている気がする。

父のこと A small,good thing