微笑をもって
子供の頃、家のコンベクションオーブンで、
母がよく、おいしいパンを焼いてくれました。
それが今、わたしがここでパンのことを書いている
そもそものきっかけだったかもしれません。
わたしの一番の後援者でもあった最愛の母が
先週木曜の夜、静かに息をひきとりました。
火曜日、入院したばかりの病室からこっそりくれたメールには、
「疲れていたのでとても快適に休んでいます」とありました。
わたしから借りた本を「楽しみ始めました」とも書かれていました。
治癒の見込みのない大変な病で、でもその大変なところの大半を、
わたしは、はっきりとは知らずに、この1年を過ごしてしまいました。
母は、知らせないようにすることに力を尽くしていました。
心配されてもしかたがないのよ、と言ったかもしれない。
入院して二日、最後まで、目が合えば微笑んでくれました。
何よりも大切にしていた、家族と共にある日常を貫いて
母は旅立っていきました。
今はただ、母という人に、その強さ、潔さに、
その生のまっとうのしかたに、心を打たれています。
たとえ遠く及ばざるとしても、その生き方を見習って
胸をはって生きていかなければ、と思います。
今日も読んでくださった皆さま、ありがとうございます。
これから少しずつ再開してまいりますので
どうぞ、よろしくお願いいたします。