竹谷光司さん感謝の会
今から20数年前、若手パン職人たち(今ではパン業界を代表する方々)
が集まって、将来は業界のシンクタンクになるという志のもと、
勉強会を始めました。
会を発足させたのは、日清製粉の技術者であった竹谷光司さん。
勉強会が定例で行われていた時期、一度呼んでいただいたのを
きっかけに、最後の数年は必ず末席で参加させていただきました。
サッカーでは「後ろの声は神の声」と言われ、自分の後方の選手の
指示が大切とされるそうですが、ブロートハイムの明石さんは、
竹谷さんの声を神の声にたとえていました。
と同時に人間味があって、温かい、かけがえのない人だとも。
ドンクの仁瓶さんは、竹谷さんのことを灯台や開拓者、導師にたとえます。
おいしいパン屋さんには信頼できる仲間がいる。
仲間との切磋琢磨が、理想のパン屋さんをつくる。
『おいしいパン屋さんのつくりかた』を書いたときや、
製パンの知識を必要としたときも、わたしは竹谷さんに
お世話になっていました。
その竹谷さんが退職され、奥さまとともに第二の人生を歩まれる
ということで、お世話になった人が大勢集まって、帝国ホテルで
感謝の会を開きました。
左から帝国ホテルの金林さん、清水、竹谷さん
わたしは今日も、たくさんのパン屋さんにお会いしました。
今でも教えてさしあげるより、いただくことばかり、
シャンとしろと、叱咤激励してもらえばうれしいし
パン業界の人ではないのに、温かく迎え入れていただいて
仲間のように接していただいて、感謝の気持ちでいっぱいで。
この素敵な人たちとの巡りあわせの1/3いや、半分くらいは、
竹谷さんのおかげではなかったか、と思うのです。
左からブロートハイムの明石さん、コシュカの秋元さん、シニフィアン・シニフィエの志賀さん
僕の夢は小さなパン屋さんを開くこと。
時々竹谷さんは言っていました。
あの楽しげな、静かな声で。
その夢が実現に向かっているのを、皆が祝った夜でした。