Birthday Sweets
数日遅れの誕生日を、父が祝ってくれた。
誕生日は母に感謝する日だったから
今年は寂しかったけれど、それは父も同じだ。
その昔、大学勤めをする前、父は編集者だった。
母は広告代理店で翻訳の仕事をしていた。
それはわたしが知らないふたりだけれど、
今のわたしの素はその辺りにあるかもしれない。
誕生日らしい思い出話はしなかった。
わたしたちは今を笑顔でのりきることに
精一杯かもしれない。
いつも窓から覗くばかりで、入ったことのなかった
ケーキ屋さんに入って、甘やかしてもらった。