高橋雅子の変換レシピ
マニアックなホームベーカー(=家庭製パンをとことん楽しむ人々)
待望の書が出ました。
パン教室「わいんのある12ヶ月」主宰、『少しのイーストでゆっくり
発酵パン』など、家庭製パンの本でおなじみの高橋雅子さんがこの度、
10冊目となる『高橋雅子の変換レシピ』(PARCO出版)を出版しました。
志賀勝栄さん、山﨑豊さん、伊原靖友さん。
以上3名の名シェフによる、オリジナルレシピが5つずつ冒頭にあり、
それを高橋さんが家庭向きに変換したレシピが続きます。
海外のパンを、素材も環境も異なる日本で再現しようと試みる
職人さんの話を聞くことがよくありますが、高橋さんの試みは
それと似ているかもしれません。
シェフたちが普段扱う生地と比べたら、極少量の生地で、設備も
まったく異なる条件下で、同じパンを焼こうとトライするところなど。
目指すパンまで、シェフとは異なるやりかたで到達する、
それはつまり大型のオーブンやミキサーや発酵機を使うのではなく、
ホームベーカリーのこね機能を使ったり、シャワーキャップで生地を
覆ったり、(ワインセラーがある人はいい感じで低温長時間発酵が
できるなんていうのもありました)という、ホームメイドスタイルです。
今までシェフたちのパンに惚れ込んで、食べ手としての歴史も重ね
ホームベーカーとしての経験豊富な高橋さんだからこその、素敵な
レシピブックだと思います。
同じものなどできるわけがない、とわかっている。
でも、家のパンは世界一おいしいと思う。
それが多くのホームベーカーが感じることだと思います。
じっさい、自分と家族の嗜好を最優先でき、原価計算などしなくてよい
という利点はあるのです。
いずれにしても、恐れ多くも同じパンを目指し、憧れのシェフの思想に
周波数を合わせ、懸命に作ってみるというその過程は、いつになく
楽しい時間となるに違いない、と思うのです。