エスプレッソというパン
昔(1975年頃。ほんとに昔)、母が作ってくれたコーヒーロールは
コーヒー味の生地をくるくると巻いて8個くらいをバットに並べて
焼きあげたものだった。仕上げは白いアイシング。
わたしがコーヒー味の生地やアイシングが好きな所以はここにある。
ネモさんの「エスプレッソ」は、そのことを思い出させたけれど
よりコーヒーが濃やかに薫る大人の味わいだ。
子供の舌には、ほろ苦いと思う。子供の味覚と大人の味覚。
昨日は取材で再びネモベーカリー&カフェを訪れ(今度はもっと
ハードな文体で密な舞台裏を書くのだ)、一息ついた時に
そんな話にもなった。
さっき片付けていて見つけた、古色蒼然とした懐かしのバットには
SKYLINE BAKEWARE ENGLAND という刻印があった。
イギリス製やアメリカ製が多い時代。
昔は、便利な器具もいまほどなかったけれど、デザインは永久もの。
振り返ってばかりはいけない、と思いながらついつい懐かしむ。
そういう過去の一粒一粒が、いまの自分をつくっていると思えば。