小川聖子さんと雪菜と

Diary1201271

野菜の芸術品ともいわれる雪菜

27日の晩はジャーナリストなど、食の仕事に関わる人の勉強会、

辻調<新>塾に出席しました。テーマは雪菜と、雪菜のふすべ漬。

料理研究家で、漬物の食文化研究もされている小川聖子さんのお話を伺いました。

美しい雪菜という名前が印象的で、前の晩にいただいて感動した宮城の仙台雪菜

と同じもの?と思っていましたが、今回の雪菜は元祖ともいえる山形県米沢市特産

の雪菜。ふたつはまったく違う野菜なのでした。

仙台雪菜は中国野菜の青菜のようでしたが、この雪菜はちょっと白菜のよう。

そしてものすごく変わっていて面白いのは、11月の終わりにこの野菜を

地面から抜いて、畑に直立させて整列させ、たくさんの雪が降り積もり、その下で

溶けてしまう外側の葉に守られた芯のところだけが生命力を持って残る、その芯を

食べる野菜、ということです。

温度湿度の違いによって採れる野菜が違う日本列島で、かつて冬に食べられる

生野菜がなかったこの地方で唯一、生鮮な味を楽しむ方法だった雪菜のふすべ漬。

ふすべというのはお湯を通すことをいうのだそうです。

お湯に通して漬けることでカラシのようなワサビのような辛味が出てきます。

珍しい、冬の浅漬けです。

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雪菜のふすべ漬。日本酒に合います。

いまは副食や流通の発達によってこうした手間のかかる野菜をわざわざ

つくらなくてもよくなってきたこと、辛味のおいしさがわかる大人になるまで

子供のときから食べ続ける人が減ってきたこと、生産者の高齢化、後継者不足

などから、雪菜は存続が危ぶまれている、絶滅危惧に瀕した野菜です。

最も印象に残ったのは、「この存在を知ってもらった上で絶滅するのは

仕方ないと思っています。でも、誰にも知られずに静かに消滅してしまうのは可哀想。

だからわたしは伝えているのです」という小川さんの言葉でした。

わたしも、そんなふうな心持ちで、まじめに淡々と続けていこう。

自分が興味をもっていることを、よいと信じていることを。

そんなふうに、思ったのです。