百年「と」パン プライスカードの”パン文学”案内

Diary1202253

吉祥寺の古本屋さん「百年」でル・プチメックの西山逸成さん、

愛パン家の渡邉政子さん、パンラボの池田浩明さんのトークイベント。

プチメックのプライスカードのことはよく知られていて、

先日の記事にわたしもまた書いたのでしたが、その

プライスカードに書ききれなかった想いや、パンの豆知識を、

池田さんの誘導のもと、渡邉さんと西山さんが熱く語る、といった

味わい深い内容でした。

Diary1202252

配られた1センチちょっとの厚さのパンのかけら数枚。

それをさらに半分にちぎり、渡邉さんの説明を受けながら

ゆっくりじっくり味わい、「まだ全部は食べちゃ駄目!半分とっといて」

などと言われるのは、じれったくなってしまうほどなのだけれども、

たまにはこういうのも必要ですね。嗅覚と味覚の授業。

最初は当日焼きのバゲットと前日のバゲットの味比べ。

ル・プチメックのバゲットは、多少クラストに水分が移行して

カリっと感が失われるけれども、翌日もほんとうにおいしい、とわかる。

対粉70%の水分量が、旨味を保持している。

次は50%フランス小麦のバゲットと、きょうのためにトクベツに焼いた

100%のバゲットの味比べ。

100%のほうはわたしは野性味を感じた。50%のバランスが、わたしは好き。

どちらがおいしいかは、個人的な味覚の嗜好による。

それから、2001年から継ぎ続けているという自家製酵母のミッシュと、

使いきりで継がない自家製レーズン酵母の白イチジクとクルミのパンで、

酵母種の違いによる味比べ。

ミッシュの味の濃さ、深さは、この酵母によるものだったのだとわかる。

まるい、かすかな酸味。

渡邉さんは酸味のあるパンを「夏みかんの酸味は嫌いだけれど、

みかんの酸味は好き」と例えて表現した。とてもわかりやすい。

この、ゆっくりじっくり味わう拷問、もとい、味覚の授業で

わたしは、ル・プチメックのバゲットと、ムールと、ミッシュの

おいしさを、大勢のパン好きさんたちと共に、再確認しました。

西山さんの説明はいつもどおり、明快で的確で、揺らぎなく。

問題をうやむやにしないで、時間をかけてでもひとつひとつ解決する

人だけが持つ、静かで確かな自信、のようなものを、感じました。

そしてパンラボの池田さん。いつも帽子をかぶっていて、お洒落な人だ。

パンについて記す人のなかに、彼のような言葉のセンスを持つ存在が

あることが、なんだか、嬉しい。『パンの図鑑』を読まなくちゃ。

お土産はクロワッサン、柚子と栗のセーグルのプチサイズ、

ショウガのチャバタ、ペピット。

わたしは、ショウガのコンフィ入りのチャバタに感動。

きょうおいしいパンを食べたひとたちは、きっと、家族や友人や恋人や

大好きな人たちに、これを食べさせたいと、思うはず。

そんなトークイベントでありました。

Diary1202251