「パンの深層」西山逸成×清水美穂子

食に関わるジャーナリストや編集者、メディア人などの

勉強と交流の場、辻調塾で、ル・プチメックの西山さんと

お話をさせていただきました。

話し手が一方的に高いところからものを言う場ではなくて、

聞き手は話し手とが同じ場所で、双方向に意見を交わせる

ところが、この塾ならでは。

最初に自己紹介があり、次に本題の話と交流会を経て、

最後にひとりひとりが感想を言います。昨晩は45名ほど

出席者がいたので、1時間近くかかったでしょうか。

でもこれが、あとからじんわり、効いてきます。

パン。日本語で2文字、フランス語や英語で4文字だけれど、

人によって、これほどそれに対する考えや経験や想いが

異なる国はないかもしれない。とくに今の日本では。

わたしは、日本の今のパン食文化がどうなっているかについて

世界と、業界と、若い職人さんたちと、パン愛好家たちと、

そしてメディアの人の視点から眺めた感じ(感動も疑問も)

と、これからどうしていきたいかについて話をしました。

西山さんは今、考えていることについて、わたしと違う

角度から、ル・プチメックのパンの深層を切って見せてくれた。

とくに、経営者として、スタッフを大切にする西山さんの姿勢は

彼は淡々と、あたりまえのように、いつものように話すだけだけれど、

たくさんのひとの心を動かしていたようだった。

わたしも、何度聞いても、自分の仕事や人生に照らし合わせ、

省みる。自然と姿勢を正したくなる。

わたしは、この人と知り合えて、ほんとうによかったと思う。

きのうも、そういう人が少なくなかったと思う。

「パンの深層」というタイトルは、辻調塾を主宰する小山さんが

打ち合わせをかさねるうちに、つけてくれたタイトルで、

わたしは深層(それとも真相)とは、気が利いている言葉だと思ったけれど、

西山さんは、自分は「パンの深層」からかなり遠いところにいる、という。

そもそも、深層とは何だろう。

日本の今のパンのシーンは幾つもの要素が層を成していて、

わたしひとりでは語れず、西山さんと二人でも語りつくせない。

そのなかで、食に真剣に関わる多くの人の考えや思ったことを

お聞きでき、視野をひろげられたのは、とてもありがたい機会だった。

お会いできた皆さまに、感謝。

わたしは今後も、さまざまな手段で、機会ある限り、

同じことを伝えていきたいと思います。

クリスマスだからパン、ではなく、忙しいからパンですませとこう、

でもない、普通の日々の食事としての、シンプルなパンをつくる

職人さんが、希望を持って働けるように、

何ものっていない、何も入っていない、けれど、職人さんが作った

おいしいパンと、それを楽しむ時間を、多くの人が持てるように、

その消費者層を広げることができるように、動きたいと思っています。

Diary120720

交流会は代官山の蜜香(ミーシャン)さんのパンに合う料理と

ル・プチメックのバゲットリュスティック、バゲットルヴァン、

生ハムのバゲット

ポークリエット 八角風味

鶏胸肉のブルーチーズあえ

舞茸風味のマッシュポテト グラタン仕立て

イタリアナス(ローザビアンカ)とパプリカの煮込み

2種のクリームチーズアプリコット)(グリーンレーズン)

ココナッツプリン イチジクと赤ワインのソース シナモンの香り