国産小麦は地域の魅力になれる

Diary120924jpg

キタノカオリ、はるきらり、春よ恋、ゆめちから、きたほなみ。

ある勉強会にて、自給率1%のパン用小麦粉の農場を営む前田茂雄さん

(前田農産食品合資会社)に、小麦生産の現状をお伺いしました。

日本の気候や風土と麦の病気や農薬、品種改良、国の政策、

国産小麦の需要、生産者のリスク、思いと取り組み。

今回の勉強会を主催した竹谷光司さんをはじめ、

国産小麦で日本人の味覚に合うパンを作りたい、

というパン屋さんは少なくないでしょう。

日本の米と外国の米の違いをわたしたちは知っています。

それと同じくらい、品種によって小麦にも国内外の違いが

あるのだそうです。

日本でパンに適した北米産などの外麦を目指して

頑張って作っても、その価格差はかなりのものになります。

それならば、日本の風土ならではの特性を生かした

モチモチ感がつよい品種をつくればいいのかと試行錯誤する。

パン屋さんは、わたしの知るところでは、国産外国産

それぞれをパンによってうまく使い分けています。

そのパン屋さんが国産小麦を使う理由は何であるのか。

それはいつも興味があるところです。

ポストハーベストはなくとも麦の栽培中の農薬は

外麦に比べ国産小麦のほうがより多く使用されるというから、

理由は安全性だと一概には言えないのだそうです。

生産量が安定しない、価格も高い。

国産小麦をとりまくさまざまな問題。

しかし、その土地のものをその土地の人が食べることができるなら

それは一番自然で、幸せなことかもしれない。

いろいろなことを考えました。

北海道産小麦の新品種「ゆめちから」を多くの人に知ってもらおうと

前田さんが催した今年の夏のPRイベントは興味深いものでした。

北海道本別町の小麦畑にミステリーサークルを作ったのです。

宇宙人が作ったのか、誰かの悪戯かという、謎の現象を作為的に。

「農家としてはほんとはやってはいけないことだけれど、

間近に小麦を見て触って楽しんでいただく機会」と前田さん。

収穫までのあいだ、ミステリーサークル内ではヒップホップダンスや

太鼓の演奏などのイベントが行われたそうです。

ミステリーサークルはFacebookページにシェアしています。

清水美穂子【Bread Journal】