Cuisine[s] Michel Troisgrosとパン
先日、ミッシェル・トロワグロさんにインタビューを
させていただいたこともあって、(順番が逆になってしまった
けれど)、記念日のディナーをCuisine[s] Michel Troisgrosにて。
ここではパンのことを書きましょう。
わたしはおいしいパンと、ワインと、チーズがあれば満ち足りて
しまうので、普通に生活する限り、レストランでフランス料理を
愉しむ機会はそう多くないのですが、この数か月を振り返ってみたら、
Le Mange tout、Le Cheval に続いてここでもまたシニフィアン・シニフィエ
のパンに出合いました。これはかなりの確率では。
ただ今回は正確には、そのパンがあることを知っていて、出かけました。
最近、Cuisine[s] Michel Troisgrosでサーヴされるパンが変わったのです。
パンは、席に着いて最初に出合う食べ物だから、印象に残ります。
ものすごくシンプルなのに、店によってそれぞれ異なり、どれもが
「食べ過ぎ注意」をしなければならない危険な味わいの、
心を動かされます。
と当時に、今回はこの厨房で作られたパンも楽しみにしていました。
本国のメゾン・トロワグロで最初に出てくるパン・オ・マイスという
トウモロコシのパンは、リッチなのに軽やかな味わいが好評なのだそうですが、
それを、つい最近、Cuisine[s] Michel Troisgrosでも始めたのです。
このパンはアミューズのようなものなので、コースが始まると、スライスされた
(香りも味も食感も後味も素晴らしい)カンパーニュのみになります。
以前、サ・マーシュの西川功晃さんに、料理人とのコラボレートして
料理一皿ずつパンを変えて創るというお話を伺って、ときめきを覚えましたし、
前回のインタビューでは辻調理師専門学校の辻芳樹さんに、
「最近のレストランは食事の時間を楽しませる趣向で皿数もワインの種類も
増えていますから、パンの種類も自然と多くなってきているのでしょう」と
伺ったばかりでしたが、プレステージの高いレストランにおいて、
プチパン数種類を出す傾向がここへきて少しずつ変わりつつある、と
言ったのはミッシェル・トロワグロさんでした。
その新しい試み、というか、原点回帰のアイデアを、今回は
実際に体験することができました。
「本当の意味でおいしいパン1種類で、絶対に忘れられない思い出を
作ることができると思います」
これはさきほど書いていた原稿の一部、トロワグロさんの言葉です。
さまざまなプチパン数種類と、パン・ド・カンパーニュ1種類のスライスと
どちらがいいかは、わたしの浅い経験では言うことができないですが、
今回は大満足でした。
おいしいパンを出すお店は料理も必ず、おいしい。
そして、家族であれ恋人であれ友達であれ、大好きな人たちと
ともに過ごすなら、その食事は人生においてかけがえのないものになる
と、思っています。
Cuisine[s] Michel Troisgrosはハイアットリージェンシー東京にあります。
Facebookページでは清水美穂子の発信するパン情報を集約しています。