my favorite works
取材をしていると、テーマから微妙にずれていき、
気がつくと彼らの生き方を、世の問題点に対する行動を聞いていたりする。
そのひとの作品よりも、そのひとの人となりに興味があるということを隠せず、
そのまま扉をあけてしまう。
帰り道、手にしているのは「いま、食べるべきもの」や「電車を乗り継いででも
行きたい店」の情報ではなく、ましてや「成功する店の秘訣」や「最新トレンド」
でもなく、ただ、ひとりのひとの、喜怒哀楽のある、ていねいな生き方の断片だ。
これは、いま注文が入っている料理には不要な素材かもしれないが、
わたしの料理に適した素材かもしれない。
期間限定でただ消費されるためにあるのではなく、素材をいとおしむ料理。
いただいた言葉を、食べやすく、消化し栄養になりやすいように整えて、
美しく紙の上に盛りつけたい。そして楽しみにしてくれているひとに
"Enjoy!"と笑顔で差し出すのだ。