トラン・ブルー成瀬正さんによるコンテ・パンセミナー

9月11日、コンテチーズ生産者協会主催、飛騨高山のトラン・ブルーの成瀬正さんによるコンテを使ったパンのセミナーが日仏商事にて開催されました。

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コンテはフランス産AOP(原産地呼称保護)チーズの中で一番の生産量を誇るチーズ。

直径60センチ、高さ10センチ、約40Kgの1ホールをつくるのに、450リットルの牛乳(モンベリアード牛)が必要とされるそうです。昨年の生産量は57886トン、145万ホール。

コンテを使ったパンのデモンストレーションは3種類。

「リュスティックコンテ」「ガトーブリオッシュコンテ」「クイニャーマン」です。

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「リュスティックコンテ」は石臼挽き全粒粉を20%使った生地にコンテも対粉20%、そぼろ状にして練り込んでいます。食べてもチーズは見あたらないのですが、香りと味に食欲をそそるコンテを感じます。食感は加水率が高い生地がしっとりもっちり、しかし空気のように軽やか。ハムだけをサンドイッチにしたものが、成瀬さんのおすすめで、これはシンプルにして極上なサンドイッチでした。

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チーズだけのプレーンな生地のほか、飛騨の高山の白カビソーセージやさらに海抜の高い畑で採れるコーンを使ったご当地バリエーションも。コンテチーズの産地であるジュラ地方と飛騨高山は気候風土が似ているのだそうですが、ソーセージはそのジュラ地方で修業して高山で開業したシャルキュティエのお店「キュルノンチュエ」のもの。クルミとあわせて、ワインにぴったりの味が濃いリュスティックに仕上がっていました。

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「ガトーブリオッシュコンテ」はカトルカール風。砂糖はグラニュー糖ですが、黒糖やメープルシュガーなどもおいしいとか。つながりにくい生地なので冷蔵しながら作業を進めます。焼き上がりには熱いうちにラベンダーの蜂蜜を塗ります。ドットの粉糖模様がかわいい。

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非常に贅沢だったのが「クイニャーマン」。折り込み生地にコンテのかけらとカットロスのクラムをコンベクションで焼いたものとヘーゼルナッツを包んで焼きます。チーズだけよりもクラムとナッツを足すことでザクザク感を楽しめるフィリングに。生地にはグラニュー糖とバニラビーンズをサヤのままフードプロセッサーで粉末にしたものをたっぷりまぶします。焼き上がりは表面がキャラメリゼされ、カリっとします。チーズが溶けだして焦げやすいので紙を敷いた型に入れて焼きます。その味を成瀬さんは「焼き餅の味。食べていくとチョコレートのような味を感じる」と言っておられました。ザクザクの食感といい、甘さとほろ苦さと塩味と、すべてがリッチでスペシャルな味わいでした。

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チーズが主役のセミナーでありながら、チーズを入れないものも食べてみたいと思いきや、成瀬さんのお店では普通のクイニーアマンを限定販売しているそうです。これは限定販売でないと大変、と思うくらいの手間のかけようでした。

パンのセミナーのほか、生産者協会広報のオーレリア・シミエさんによるコンテのお話とテイスティングがあり、ランチを兼ねて日仏商事さんによる焼き菓子や軽食の提案もありました。ガスパチョがおいしかった。パンやコンテと合う、つめたいトマトスープです。ランチにふるまわれた「Tカンパーニュ」は成瀬さんのスペシャリテ。スキーに行く時、山荘に持って行って数日かけて食べるのだそうです。山荘に似合いそうなパンです!

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コンテはわたしの好きなチーズベスト3のなかに入ります。今回、リュスティックにコンテを、「味と香りはすれども姿がみえず」な使いかたをされていたのが印象的でした。個人的にはパンにコンテをいれるよりも、さまざまなパンとコンテを食べるシーンを、いろいろ考えてみたいと思います。

コンテといえば、以前、こんなセミナーもありました。

MOFチーズ職人、エティエンヌ・ボワシーさんのセミナー