アンデルセン物語

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1948年「タカキのパン」から始まったアンデルセン。『アンデルセン物語』(新潮社)を読んで、日本のパンの戦後史をアンデルセン創始者、高木俊介、彬子夫妻の視点で辿った。

最近『ドンクが語る美味しいパン100の誕生物語』を再読したばかり。アンデルセンの本を読みながら、ドンクの藤井幸男も素敵だけれど、アンデルセンの高木俊介というひともかなり素敵だ、と思った。そして、奥さまの高木彬子さんもまた、素敵だということがよくわかった。日々の食事としてのパン、その食文化をずっと昔から伝え続けているひとだから。そして彼女は、企業のありかた、社会に対する発信力について考え続けている。

「現在のようにモノがありすぎる時代では、類似品が氾濫し、人々の商品への関心は薄くなり、商品の魅力はどんどん曖昧になってきて、もっと企業そのものの考え方や、社会に対してどう役立とうとしているのかという姿勢に生活者の関心は集まる」。確かに。

メディアでファッションやブームとして捉えられてしまうパンがある。パン屋さんが悩みながらつくっている日々の食としてのパンと、売れるからつくるパンがある。今の日本にはいろいろなパンがある、けれどひとつ確かなのは、わたしたちの明日のからだをつくる日々の食事としてのパンは、ドンクやアンデルセンやそのほかたくさんのパイオニアのおかげで、日本の食生活に根づいている。その食文化をいまも深めているということだ。