東日本大震災復興支援・第8回チャリティー製パン講習会

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7月4日、日清製粉株式会社小網町加工技術センターにて、8回目になるチャリティー製パン講習会が開催され、受講料315,500円が「あしなが育英会東日本大震災津波遺児支援募金」に寄付されました。

講師は発起人でレギュラーメンバーの山﨑豊さん、伊原靖友さん、井上克哉さんのほか、今回は「クラブハリエジュブリルタン」統括シェフの小金井利嗣さん、「パン工房ぐるぐる」オーナーシェフの栗原淳平さんが務め、デモンストレーションが行われました。

チャリティー講習会はいつもの和やかな雰囲気でスタート。受講者からの挙手が多く、質問が飛び交うのがこの講習会の特長です。山﨑さん、伊原さんらが時々、要点をおさえた質問を講師に投げかけるすることで受講者は大事なポイントを見逃すことなく、スマートな進行役に、彼らは教えるプロでもあることに、あらためて感じ入ります。

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井上さんの「気仙味噌パン」はイタリアパン用の「ルスティカ」を使用。フランスパン生地の発酵種とドライイースト併用で、短い発酵で仕上げます。気仙味噌20%使用。塩は入りません。やわらかなフォカッチャタイプの味噌パンは日本の食卓に馴染みそうです。

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栗原さんは茨城県ひたちなか市でパンを焼かれています。「朝ご飯として食パンの代わりにもなる、こういうパンも広めていけたら」と吸水の多いパン・ド・カンパーニュとそのバリエーション(クルミクランベリー)を紹介。「リスドオル」に「オーション」という灰分の高い粉をブレンドしています。個人的にとても好きな味でした。

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チーズやネギの入ったフランスパンも紹介されました。10%のネギを生地に入れるときには、ネギから水分が出ないように手ごねします。その分ミキサーは他のパンに使えるという利点もあります。

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栗原さんのもう一つのパンは、「ごはんぱん」。1kgの粉に対し0.5合の炊いたお米が入っています。お米は栗原さんのご実家「栗原農園」のもの。米を米粉にするのはお金がかかる。ならばご飯を湯種のようにして使ってみてはという発想から生まれたこのパンは、油脂にはラードを使用して伸展性よくコクを出し、乳製品と卵を使用せずに柔らかく食べやすいパンに仕上がっています。店ではヒジキや高菜などを包んだものも販売。この日はキンピラを包みました。

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小金井さんの「プレシアンス」(フランス語で”予感がする”の意)はコンテスト用につくられたパン。手間がかかりすぎるので販売には向かないようですが、こういうパンの組み立て方があったのか、と息をのむおもしろさ、でした。

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まず、型が個性的、と思ったら、セルクル、ボンブ(半球)型、コロネ型を組み合わせたものでした。チョコレートの菓子パン生地に合う甘味と酸味を考えてケフィアヨーグルトを使った牛乳種を用い、それをもとにした発酵種には出来上がったパンを冷やしてもかたくならないように液状ショートニングなども使っています。バターや加糖卵黄、生クリームやチョコチップ等々、多種類の素材を配合したチョコパン生地が、その型で焼かれ、冷やされ、うすく伸ばしてらせん状に切れ目を入れたデニッシュ生地をかぶせてさらに焼かれます。

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仕上げはガナッシュクリームとグリオットチェリー。素材やレシピについての記述は他のパンの約3倍。ほんとうに、お菓子のようなパンでした。

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小金井さんはこのほかに、クランベリーをはじめとするベリー類やリンゴを使った紅白の「Kotobuki」、ブルーベリーとイチジク、シャルドネと紅茶を使った「シャルドネダージリン」を実演紹介しました。

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ランチタイムには、山﨑さんのとうもろこしのチャバタ、海藻のパン(やきまつも、ふのり、しょうゆ、餅粉入り)なども並びました。伊原さんは今回、陸前帆立を贅沢に使ったクラムチャウダーやチキンのハーブ焼き、サラダにはグレープフルーツたっぷりのドレッシングなど、パンに合わせる料理を担当されました。

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今回は「希望のりんご」プロジェクトを主宰される池田浩明さんの提案もあり、東北の素材が意識的に使わたことも、とてもよかったと思います。

今後も山﨑さんらによるチャリティー講習会は続きます。10月には名古屋、11月には京都での開催が予定されています。

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