ル・パン・コティディアン アラン・クモンさんを囲む食事会とインタビュー
10月10日に料理通信が主催する、ル・パン・コティディアンのアラン・クモンさんを囲む食事会に出席しました。
1990年、ベルギーのブリュッセルの小さな空間、たったひとつの(しかし14席の、大きな)アンティークテーブルから始まったル・パン・コティディアン。日本には2011年に出店、いまでは東京で、芝公園、オペラシティ、表参道、日比谷、東小金井、代官山の6店舗を展開しています。
会では編集長の君島佐和子さんの進行で、ル・パン・コティディアンについて、自分にとっての「プルーストのマドレーヌ」(懐かしの味覚)について、食で大切にしていることについて、など、アラン・クモンさんと食に関わる仕事をする人たち、料理通信の読者の方々との意見交換が行われました。
メニューはアペリティフにサーディンのセビーチェ、ヴィーガンディップ、メインにチキンポトフ、きのこのオーツ麦リゾット、デザートにタルト・タタン。飲物はラングドック・ルーションのアランさんのワイナリーでつくられるオーガニックワイン、RN13。これらすべてを、ル・パンコティディアンの数種類のパンと合わせて楽しみました。
じつは、今回のアランさん来日を知って、『わたしの素敵なパン時間』インタビューを申し込んでおり、会の前にお話を伺っていました。そこで、とても面白い気づきがありました。
それは、タルティーヌのことでした。
タルティーヌというのは、塗るという意味のtartiner(タルティネ)ということばから来ています。半割にしたバゲットにバターとジャムなどを塗ったシンプルなもののことです。
でも、最近、とくにル・パン・コティディアンのような店によって、チーズやハムや、彩り豊かな野菜などさまざまなものを載せた趣向を凝らしたタルティーヌがカフェなどでふるまわれるようになってきました。
アランさんへのインタビューで、彼はタルティーヌをスシに例えました。それは、炊き方のきまった上質な飯に新鮮で上質な具を載せる、という意味において。
そのあとで、平日と週末、カフェと家庭、という時間や場所の違いによるタルティーヌの違いにわたしの質問が及んだ時、「こういう、ル・パンコティディアンのように最初から具が載っているタルティーヌはカフェのスタイルであり、家庭のそれはテーブルの真ん中にパンをドン、とのせて、家族それぞれがセルフで好きな具を塗ったり載せたりして食べるんです」、という答えが返ってきました。
それはまるで、日曜日の家族の団欒、手巻き寿司ではないでしょうか。
一方で、あの美しいル・パン・コティディアンのタルティーヌは、寿司職人がつくる握り的なものなのですね。
インタビューの内容はここでまた、ご紹介できたらと思っています。
※ル・パン・コティディアンのレシピブックについてはこちらでご紹介しています。