Friend of a Farmer

昨日の午後はダウンタウンをArcade Bakeryまで歩いて(美術館に続きJust closed。そんな日だったのかも)からブルックリンのアパートメントに戻り、地下のランドリールームへ。
そこはまさにアメリカの普通の家らしさがあって、奥の薄暗がりになにがあるかわからないところがちょっと怖く、Wordsworthの古い詩集がぽん、と置かれているのを洗濯の合間に眺めたり……というようなことが私にとってはすこぶる楽しく、ひとりで地下室で洗濯をするくらいで勇敢な気持ちになっている自分も結構おかしく。

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夕食は近所のフランス系の人がやっている謎めいたカフェで、時差ぼけの目をこすりながら。頼んだメニューが、シイタケマッシュルームのラザニアやロメインハートのサラダ、そして(今でも夢かもしれないと思う)2.5センチ角のフレンチフライのついたビスケット生地のバーガー。NYのフランス人がつくるハンバーガーのバリエーションのひとつでしょうか。シュールで、眠すぎて、写真はナシです。

そして翌朝。

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朝一番に、パンケーキが食べたいと夫が言うので、地下鉄を乗り継いで、再びマンハッタンはIrving PlaceのFriend of a Farmerへ。いまはすっかり高級ホテルに様変わりしてしまったGramacy Park Hotelが古いホテルだった頃、滞在した時に見つけたお店でした。地価高騰するマンハッタンで店が消えていくなか、変わらずに残っていることはすごいことです。変わらずにというのも大切なポイントで、店はあっても中身がすっかり変わっていることもあるのです。

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Farm to Tableという言葉がトレンドとなって久しいですが、Friend of a Farmerはもう30年もそんなことをやっている、草分け的なお店のひとつ。サービスの女性に20年前にもその前にも来たと言ったら驚いて(そうでしょう。彼女は赤ちゃんだったかも。すごく昔のように思えるはず)よろこんでくれました。

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自家製のアップルバター付きの、Apple buttermilk pacakes。この味だった。こういう、ふわふわし過ぎないパンケーキが好みなのです。

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食後は横なぐりの雨の中、Union sq.のGreen Marketへ。パン屋さんや焼き菓子屋さんも出店していて、グルテンフリーの食べ物はここでもあちこちにありました。近郊農家の、色とりどりの野菜たちが楽しくて飽きず、雨にも関わらず端から端まで見て歩きました。

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いつもどこかで特別なイベントとしてではなく、あたりまえに市場が開かれていて、農家の人やパン屋さんやチーズ屋さんが決まった場所へ売りに来る、地域の人にとって、なくてはならない場所となっている感じがほんとうに素敵でうらやましく思いました。

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それからStrand書店やChinatownの店など毎回行く、何十年もそこにあり続ける店を確認しに行く一方、テーマやコンセプトでまとめられたフードコート、商業施設にも行ってみました。そうした場所はガイドブックでは行くべき場所のように書かれており、それなりに賑わっているのだけれど、個人的にはほとんど興味がそそられなかった。お店はそのお店独自の匂いと佇まいで、かつてそうであったようにひとつひとつ光りながら存在しているほうがそそられるのです。あと10年、20年したらここはどんなふうに変わっているだろう。

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夜はロブションNYの山口さんと、Greenwich VillageのBlenheimへ。自家農園直送の野菜のおいしいレストランです。ケールを焼いたり、芽キャベツを素揚げしたりするのが新鮮。ボディのしっかりした野菜は、そうした調理法に馴染むのですね。時差ぼけピークでしたが、お元気そうな山口さんにお会いできてよかった。来年は新しいブーランジュリーもいよいよ動き出しそうです。