Today's Toast【2】 マーマレードとバターの例外
イギリスパンといったら、やはり、マーマレードとストレートの熱い紅茶の気分なのです。イギリス風にまとめる、ということもあるのですが、カリッとドライな食感に、柑橘系のトロリとした甘酸っぱさ&ビターさがちょうどよく合うのですね。
薄切りにして香ばしくきつね色に焼いたトーストに、スライスしたバターをのせて10秒ほど余分に焼きたして、お皿に移したらすぐにマーマレードをのせて、黄金色の蜜が流れ出しそうなところを、サクっとかじります。ちょっと忙しいですが、至福のトーストを想えば、これをする価値はあるのです。
バターは塗るものではなく、のせるか、つけるもの。
これは作家の江國香織さんが書かれていたことで、わたしも同じ意見です。バターはつめたいかたまりが舌の上でとろける時こそが、最高においしい時だから。
ただし、蜂蜜やマーマレードと一緒にのせるなら、甘くとろけてもいいのです。トーストのサクサクとしたドライな食感を愉しむうちに、バターと蜜がしみじみと浸みてくる、その感じ。あらためてこの食べかたはいいものだなぁと気に入って、ついもう一枚、と手が伸びてしまうこともあります。
マーマレードで気に入っているのは、たくさんの種類を揃えた英国王室御用達、Tiptree(チップトリー)の「クリスタルオレンジ」。マーマレードでありながら果皮の使用量を抑えており、ゼリーのようなまろやかな舌触りで、イギリスパンのトーストにはことのほかよく合います。
※そう、ゼリーのような食感が好きで、最初に大好きだったのはTiptreeのORANGE JELLYでした。よく横浜・元町の輸入食料品店で買っていましたが、そのうち見つからなくなってしまったので、それに似たCRYSTAL'ORANGEになりました。でも、またもや入手困難になってしまい、暫定的にいまはこれ。フランク・クーパーのMUSCOVADO。黒糖のコクのあるマーマレードです。スタンダードなORIGINALは次なるお楽しみです。