ニコパン、グルテンフリー。米粉パンに再び注目。

昔、米粉のパンが話題になり始めた頃、いくつか取材を受けましたが、あまりいいことを言えなかった記憶があります。その頃食べた米粉100%のパンは、なんというか、いまひとつだったし、米粉ライ麦粉のような感覚で何割かブレンドするだけならば、それはパンのバリエーションとして、なかなかおもしろい、おいしいものになる可能性があったけれども、米粉100%のパンは、「パンとしてどうなのか?」というのがこれまでの私の感覚でした。米粉のパンと言っても、小麦のグルテンをわざわざ添加してパンにしたものもあったようです。グルテン不耐症の人の食養生としての米粉パンであれば、それはNGですね。

 

米の消費量を上げる目的であれば、何もパンにしなくとも、ご飯やお菓子で食べたらいいのにな、と思っていました(「パンがなければお菓子をお食べ」みたいに無知、あるいは意地悪に聞こえないといいけれど)。それが一番おいしいもの(わたしはお米のご飯が大好きです)!

 

グルテン不耐症については、日本であまり聞かなかったために、私はこれまであまり注目してこなかったのですが、最近は、ニューヨークやパリで仕事をする友人たちと話していると話題になることも多かったのです。そのことについてはまたあらためて書く機会もあると思いますが、このブログでは2年前にナディア・サミュさんのことを書いています。

そしてこの4月、学生時代の先輩が関わるグルテンフリーのお店がオープンして、お知らせをいただき、あらためてグルテンフリーのパンについて考える機会に恵まれました。

ニ子玉川の高島屋のすぐそばにできたグルテンフリーカフェ「タマクーヘン」です。

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運営はさまざまな飲食店を手掛ける株式会社クルヴェル・キャンの小田寿夫さん。お客さまの声を聞くうちに、グルテンフリーの食の需要を肌で感じてきた人です。

 

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小田さんは数年前から米粉バウムクーヘンの開発に取り組み、国産の有機玄米全粒粉(JAS認定)を使用した「タマクーヘン」がこのカフェの看板商品となっています。

 

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Tama Kuchen | タマクーヘン

 

カフェの、もうひとつの看板商品が「ニコパン」。米粉100%のパンです。小麦粉、卵等を使用せず、国産米粉を何種類かブレンドしています。酵母は白神こだま酵母、油脂は米油、砂糖はきび砂糖を用いています。

 

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吸水性の高い米粉により、パンはしっとりしています。普通の食パンに比べて、ヒキ(ムギューッという伸び感)には欠けるのですが、それでも、ちぎった時の感覚が、今まで体験した米粉100%のパンの中で一番小麦粉のパンに近く感じたかも。パティシエのつくるリッチな食パンのような。ほのかな甘さとしっとり感は日本人好みだと思います。米粉のパンも進化しているんですね。

 

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食べかたとしては、トーストがおすすめです。カフェではこのパンのトーストメニュー、スープなどと一緒に楽しめる軽食メニューがあります。バリエーションとして、レーズンやチーズ、オーガニックのチョコレート入りもあります。

 

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米粉パンのブームが再び、訪れているようです。

 

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この6月には大手製パン会社も動き出します。乳幼児のアレルギー発症率や訪日外国人の増加を踏まえ、第一屋製パンでは国産米粉100%、グルテンフリーのパンの新ブランドFAHAN(ふぁはん)がスタート。

 また、株式会社中九州クボタの子会社である、株式会社熊本玄米研究所と株式会社トレードマークの合弁会社「玄米玄氣堂株式会社」による玄米パスタや玄米パンを中心にしたレストラン「GENMAIGENKIDO」が松濤にオープンする予定です。

米粉のパン、またしばらく注目していきたいと思います。