フランスのパンの貴重な資料室、Archives du pain français en hommage au professeur R.Calvel へ
小さな勉強会があり、ラトリエ ドゥ ブテイユの仁瓶利夫さんがこの夏、横浜の港南台に開いた、資料室兼アトリエを訪れた。パン職人、製パン従事者を対象に開かれている場所だ。
ここには、日本にフランスのパンを伝えたレイモン・カルヴェル教授の書籍やレポート、フランスのパンの貴重な資料が所蔵されている。
ドイツのバハテル社の小さなオーヴンがあって、仁瓶さんがリュスティックを焼いてくださった。リュスティックでつくるタルティーヌがまた、いくらでも食べられそうなおいしさ。
仁瓶さんはセミナーを開くときには常に資料を持参し、発酵をとっている間に解説をされるが、そうした資料をゆっくり閲覧できる場所をつくりたかったのだという。
すごく興味深い。ここに居て、本棚や壁を拝見していると、勤勉な仁瓶さんのノートの中に入りこんだような気持ちになるからだ。
セミリタイア後も、フランスのパンについての調査や勉強は続いていて、びっしりと書き込みや付箋の立った本もあれば、貼りだされた貴重な写真や資料もある。書き込みに疑問符があればその先、答えや真実や、その裏付けを調べていくことが、学びをさらに深めてゆくのだと思う。
すごいな……
と、感心している場合ではなく、わたしは、パンについて案内したり伝える人として、間違いや虚飾のない誠実な記述を、いっそう心がけたい、との想いをあらたにしました。
パンが多様化する日本で、さまざまな読者がいて、さまざまな媒体があって、さまざまな編集の仕方があって、自分ひとりの力ではどうにもならないことがあったとしても、コツコツと、真剣に、続けていこう。