2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ル・プチメックの壁

京都、今出川通のル・プチメックの店内の壁には 店を訪れた人によるさまざまなサインがある。 カトリーヌ・ドヌーヴのサインも。 へぇーそうなんですか。本物? と聞いたのは金曜日の夜のことだった。 教えてくれたNさんは、そりゃ本物でしょう、と言ったも…

Boule Beurre

Boule Beurre Boulangerie。 2006年に八王子の商店街で窓越しにパンを売る小さな小さなパン屋さんから始まって、いまは空いたお隣一軒分ひろくなって、お店の中に入って買えるようになった。 わたしの夫は建築を生業にしていて、とくにパン屋さんなどの小さ…

『ファッションフード、あります。』の楽しみ方

辻調塾にて、『ファッションフード、あります。』の畑中三応子さんのお話を伺った。 1970年頃、量も栄養も満ち足りて、情報の時代となって始まったポップカルチャーとしての「ファッションフード」史。 西洋崇拝系、和洋折衷系、栄養神話・不老長寿系などな…

15世紀のマントヴァのお姫様とパンのお話

23日はパン文化研究者、舟田詠子さんの講演で、上智大学のソフィアンズクラブへ。 先日こちらでもお知らせした、そのテーマは「マントヴァのふたりの姫の運命とふたつのパン」。 マントヴァのGonzaga家の次男、Francescoが枢機卿になるという。 その知らせを…

吉祥寺でローズさん来日記念イベント

週末、吉祥寺で開催されたローズベーカリー創始者のローズ・カッラリーニさん来日&"How to Boil an Egg"出版記念イベントでMCを務めさせていただきました。 続々オープンするお店の人気の秘密、新刊の内容とデモンストレーションなどがおもなトーク内容でし…

sens et sens

カフェに座ってコーヒーを待っていると、静謐という言葉を思い出した。 でもそこにあるのは、はりつめる静けさではなく、のんびりとした静けさ。 近くに座っていたひとが、昼食のあとのコーヒーをのみながら 「静かだね」と言った。しばらくして、「うん、静…

my favorite works

取材をしていると、テーマから微妙にずれていき、 気がつくと彼らの生き方を、世の問題点に対する行動を聞いていたりする。 そのひとの作品よりも、そのひとの人となりに興味があるということを隠せず、 そのまま扉をあけてしまう。 帰り道、手にしているの…

and next 10years

ダンディゾンの後、この10年のこと、これからの10年のこと、 考えながら、公園を歩きました。 ダンディゾンの。それから、自分の。 パン・オ・ルヴァン パン・ド・ロデヴ ベーカーズナイフ持っていかないと、公園でパクッ、と食べることも ままならぬけれど…

ダンディゾンの10周年

吉祥寺のダンディゾンが先日、10周年を迎えました。 (このBread Journalと同い年ではないですか!) 10年前に店がオープンした時、こんなふうに書きました。「ダンディゾンとは、10年後という意味。 10年後にも変わらず訪れてもらえたら。そんな思いがこめ…

百年前の京都で本物のパンを求めた人

老舗の多い京都。進々堂は今年100周年を迎えた。 その記念に作られた、小冊子が今、ここにある。 現社長の続木創さんにいただいたものだ。 百年前の京都で本物のパンを求めた進々堂の創業者、続木斉さんは 大正13年(1924年)、船で2ヵ月かけて、日本人のパン…

新しい靴をおろして、新しいパン屋さんへ行く。

天気予報ではトラックが横転し木が根こそぎ倒れるほどの強風の可能性も と報じていたけれど、夜中に雨音を聴きながらいつのまにか眠ってしまって 起きたら五月のような天気だった。 新しい靴をおろして、新しいパン屋さんへ行く。 数年越しで、ようやく行け…

悲しみのあとで

このパンには思い出の味がある、 港のどこより廃れて混みあった辺りの、 貧しい居酒屋で食べるこのパンには。 ウンベルト・サバ(須賀敦子訳)「悲しみのあとで」の冒頭。 イベントをきっかけに、パンが出てくる詩に出合う機会が多くなった。 おいしくなさそ…

バターのこと

個人的な嗜好として。 朝食はたいていパンを温めて、バターをつけて食べる。 バターはつめたいものが、温かなパンと体温によって、口の中で溶ける瞬間が好きだ。 バターが手に入らなければ、オリーブオイルをつける。 なにもつけないこともある。香りが大切…