どこにもないパンの考え方
レシピより、その人がどんな思いでそのパンをつくったかを知りたい、と思う。
ブランジュリタケウチの竹内久典さんがパンの本を読むときに思うことは
わたしが職人さんを取材をするときに一番知りたいことと同じだった。
わたしはパン職人ではないので、製法が正統か邪道かなどあまり気にならない。
かえって、どうしてそのやりかたをするのか教えてもらうことに、喜びを感じる。
思い描いたパンに向かって、自分の感覚をひたすら信じてアクセスしていく
竹内さんのやりかたは、素人のわたしにはとてもまっとうな方法に思える。
ただ、既存の製法でつくらないというのは、どんなに大変なことか想像する。
他の人がしないことを、他の人の何倍も努力してやり遂げる、ということ。
技術を身につけるだけにとどまらず、さまざまな経験をしたことで生まれる
情熱のスペシャリテ。その向こうで微笑む人たち。ひとつひとつにストーリー
があって、それが彼のパンをいっそう魅力的にする。
『ブランジュリタケウチ どこにもないパンの考え方』を読みました。
レビューに書いたとおり、素晴らしい本です。
すぐに行きたくなりましたが、そんな距離でもないので、2005年の夏
『おいしいパン屋さんのつくりかた』取材のときに撮影した写真を出してきて、
いま、懐かしく眺めています。