ことば

発売中の『現代詩手帖 6月号』(思潮社)新鋭詩集2014に、小山伸二さんの「ことば」という詩が掲載されている。

パンが出てくる詩だ。

福間健二さんが顧問を務める詩の塾で以前、出席者全員が「パン」というお題で書いてそれぞれ朗読した時、その詩に初めて出合った。

わたしはその時、パンの詩がたくさん聴けるかもしれないということで参加したのだけれど、参加するからには自分も書いて朗読しなければならず、かなりドキドキしたので印象深い。人によっていろいろな「パン」のイメージがあり、記憶があって、楽しい経験だった。

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「ことば」は小山さんがフランスで暮らしていた時と幼い頃の記憶から綴られている。

異国で異国の言葉で買い物をした時の感覚を初めてひとりでおつかいをした時の感覚とかさねあわせて。

いま手に入れようとしているのはパンではない

ことばだ

というところに、はっとする。

この夏はその小山さんが思潮社から詩集『きみの砦から世界は』を上梓されることになって、わたしは各章の扉写真を担当させていただいた。装丁、挿画は福井那人さん。

ここ数年、詩とは何かよくわからないまま、言葉が好きで写真が好きで、気がついたら始動していた。遊びで作った私家版『雲の恋人』、ameen's ovenのミシマショウジさんたちとのイベント『パンと詩のある風景を巡って』や『aとbと詩』、そしてル・プチメックの西山逸成さんの協力を得て、神宮前のレフェクトワールで開催した開いた個展『cloud9 exhibition』のことを思うと、感慨深い。楽しみな夏です。

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