Today's Toast【5】イタリアの光の蜜。朝日も一緒に食べるバゲット。
朝日を身体に浴びると、身体がきちんと目覚めるのを感じます。冬から春、天気のいい朝は、東向きの窓の低いところから日が射しこむので、テーブルの上が一段と明るくなります。こんな日は、何を食べてもご馳走。
いつものバゲットを半割にして薄いバターを挟み、上下をあわせてトーストして、
お皿の上で再び半分にしたものに、ハチミツをたっぷり。
バゲットの断面にはよく、蜂の巣にたとえられる気泡が、正しい発酵の証であるうつくしい半透明の気泡膜が見られます。しかし、それは蜂の巣ほど規則正しくはなく、さまざまな大きさとかたちをしています。
気泡の空洞に溜まったハチミツは、光の蜜。
イタリア南端、シチリア島のレモンのハチミツは、決してレモンの果汁が入っているわけではないのに、レモンを想わせる爽やかでフルーティな味わいがあります。行ったこともないのに懐かしいのは、映画『ニューシネマパラダイス』や『ゴッドファーザー』のあの、悲しいほどくっきりと濃い、光と影の感じをなんとなく、思い出すからかもしれません。
さて、クラストがカリっとしているうちに、いただきましょう。
朝の光も一緒にね。