『それからはスープのことばかり考えて暮らした』
わたしの日記を読んで、その本のことを思い出した友人が
すすめてくれました。
どこを読んで思い出してくれたのかわかりませんが
わたしは作者の吉田篤弘さんのつくられる本が大好きなので
とてもうれしく思い、早速買ってきて読みました。
これはサンドイッチ屋さんのお話です。
そのお店はどんなかというと
「3」と大きく書いた下に
「トロワ」と小さくカタカナで
さらにその下にもうひとまわり小さく
「サンドイッチの店」
吉田さんの世界は、用意周到です。
そこにひきこまれたら、読み終わった後で
そのサンドイッチ屋さんが現実に存在しないことに
途方に暮れてしまうほどです。
「グレーテル」と控えめに印刷した下に
小さい文字で「おいしいパンの店」
というような表現も出てきました。
その袋の中にはひと口めよりふた口めのほうが
おいしいロール・パンが入っているのです。
でも、おいしいってそういうこと・・・。
ちょっと出てきただけで本筋と関係ないパン屋さんの
この魅力的過ぎるリアリティは何でしょう?
わたしが言い得ているなぁと感じたのは
サンドイッチ屋さんで働き始めた「僕」が気がついたこと。
サンドイッチやスープをつくって手渡すことは
何人もの笑顔を最前列で見られる
貴重な仕事のひとつかもしれなかった。
読書の秋におすすめの一冊です。
今日のピックアップ: それからはスープのことばかり考えて暮らした