スクラップマニアと葡萄

高校生活の終わりの頃、スクラップブックをつくり始めた。
それは衣食住すべてにおいて、雑誌からの
気にいった写真だったのだけれど
広告代理店にいたときに、専用のカッターを知って
ますます切り抜きがすきになって
あの頃のわたしは、パンマニアではなかったけれど
スクラップマニアだったかもしれない。
美しい、雑誌の時代だったし。

いま、残っているものをみると懐かしい。
いつのまにか、憧れの切り抜きから
現実になって存在するものもある。

たとえば葡萄の写真はどうだろう。
パンと、チーズと、ワインと、葡萄が
素朴な木のテーブルの上に並ぶ写真。
大人になったら、そんなテーブルを囲んでみたいと
思っていたのだった。

パンと、チーズと、ワインと、葡萄のあわせかたは
無限にある。
大人になったわたしは、この先ずっとそれに親しみ
すこしずつ仲良くなりながら、人生に取りいれていく
愉しみを持っている。

葡萄は、ワインだけでなくパンのもとにもなる
素敵なくだもの。

もうそろそろ、季節が終わる。