空豆

 

『日々のパン手帖』の仕事をしていた
冬のさなかに、空豆をさがし求めた。

冷凍のを使えばいいものを
どうしても生の空豆がほしかった。

ようやく手に入れたそれは
日本列島の南端のもの。
やわらかく新しい緑の味がした。

前の本のときは真夏で、リンゴだった。
撮影用でも、ほんとうにおいしくないと駄目
というルールを自分に課していたから
それはおもてに出ることはなかった。

空豆の季節が終わる。そろそろ食べおさめ。
もうじき枝豆の季節が始まる。